通過する車両に合わせた舗装をしているケースも
港は海岸部の埋立地に造られることも多い。埋立地は場所によって地盤が軟らかく、長期間にわたって沈下することがある。そのため、舗装を施工する前に、地盤そのものの強さや沈下の可能性を詳しく調べる必要がある。地盤の支持力が不足している場合には、軟らかい土を良質な材料と入れ替えたり、セメント系の材料を混ぜて固めたりする地盤改良が行われる。必要に応じて、地中の水分を抜き、地盤をあらかじめ圧密させる対策が取られることもある。
つまり港の舗装は、目に見える路面だけで成り立っているのではない。表面から地盤までを一体の構造として考え、重い荷重を安全に地面へ逃がすように設計されているのだ。港湾施設では、場所によってアスファルト舗装とコンクリート舗装が使いわけられている。アスファルト舗装は、施工に必要な時間が比較的短く、損傷した際の補修もしやすい。地盤に多少の沈下や変化が生じても、ある程度は変形しながら追従できるため、車両が走行する通路や、荷重条件が比較的穏やかな場所に使用される。
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一方でアスファルトは、温度が高くなると軟らかくなる性質がある。夏場の港で重い車両が長時間停止すると、タイヤが接地している部分が沈み込み、くぼみやわだちが発生することがある。大型荷役機械が同じ場所で何度も旋回すると、タイヤの力によってアスファルトが横方向へ押され、路面が盛り上がったり、波を打つように変形したりする場合もある。
そこで、重い車両が長時間停止する場所や、大型荷役機械が頻繁に旋回する場所、コンテナを積み重ねる場所などでは、コンクリート舗装が採用されることが多い。コンクリート舗装は、硬い板状の構造によって荷重を広い範囲へ分散できる。高温になってもアスファルトのように軟らかくなりにくく、停止荷重や集中荷重に対して変形しにくいことが特徴である。
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ただし、コンクリート舗装であれば、どのような地盤でも問題が起きないわけではない。下の地盤や路盤が弱ければ、コンクリート板が十分に支えられず、ひび割れや段差が生じることがある。また、コンクリートは温度変化によって伸び縮みする。そのため、一定の間隔で目地と呼ばれる継ぎ目を設け、舗装の膨張や収縮を吸収する必要がある。隣り合うコンクリート板の間で荷重を伝えるため、金属製の棒を埋め込むこともある。
港では、全面を同じ種類の舗装にするのではなく、走行する場所、停止する場所、荷役機械が旋回する場所、コンテナを置く場所など、使われ方に応じて舗装の材料や厚さを変えることが合理的である。
舗装の寿命を左右するもうひとつの重要な要素が、排水だ。舗装内部に雨水が入り込むと、路盤や路床が水を含み、荷重を支える力が低下する。その状態で大型車両や荷役機械が通過すると、舗装が沈下したり、ひび割れたりする原因になる。
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港は海に近く、強い風雨や高潮の影響を受ける可能性もある。また、コンテナヤードのような広大な舗装面には、1度に大量の雨水が降る。そのため、路面にはわずかな勾配を設け、雨水を排水溝へ流す構造が採用される。地面が完全に水平に見えても、実際には水がたまらないよう、計画的に高低差が付けられている。
路面に小さなくぼみができると、そこに雨水がたまる。水がたまった場所を重い車両が繰り返し通過すれば、舗装内部への水の侵入が進み、損傷が急速に拡大することもある。一般道路であれば小さな変形に見えるものでも、港では荷役機械の走行安定性や、コンテナを安全に積み上げられるかどうかに影響する。わずかな段差や傾斜でも、作業効率や安全性を低下させる可能性があるため、日常的な点検と補修も欠かせない。
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港の舗装は、単なる道路や作業場の床ではない。大型トレーラーを走らせ、巨大な荷役機械を旋回させ、何段にも積み上げられたコンテナを支える、物流施設の重要な設備である。
場所ごとに加わる荷重の種類を想定し、舗装の材料や厚さを決め、路盤や地盤まで含めて設計する。さらに排水や地盤沈下、温度変化、繰り返し荷重まで考慮しなければならない。港に広がる何もないように見える舗装面。その下には、重い貨物と巨大な機械を支え、世界の物流を止めないための構造と技術が組み込まれているのだ。