この記事をまとめると
■埠頭には世界中からコンテナに入った荷物が届く
■陸上げ後にさまざまな手続きをしないと保管エリアの「保税地域」から出せない
■コンテナを引き取りに行く前には来場予約や納品先との時間調整などが必要だ
陸上げしてからもやることがたくさんある
海外からコンテナ船が港へ到着し、巨大なクレーンで次々とコンテナが岸壁へ降ろされていく。その光景だけを見れば、荷揚げされたコンテナはそのままトレーラーに載せられ、倉庫や工場へ運ばれていくように思える。しかし、船から降りた直後のコンテナを自由にもち出すことはできない。なぜなら、なかの貨物は、まだ国内で流通できる状態になっていないからだ。
外国から到着した貨物は、輸入手続きが終わるまで「外国貨物」として扱われ、コンテナターミナル内の保税地域に置かれる。保税地域とは、関税などを納める前の貨物を税関の管理下で保管できる場所である。船が着いたことと、日本国内への輸入が認められたことは、まったく別の段階なのだ。
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最初に必要となるのが輸入申告である。荷主や輸入者は、船会社などから届く到着通知を確認し、インボイス、パッキングリスト、船荷証券などの書類を揃える。実際の申告は、荷主から依頼を受けた通関業者がNACCSと呼ばれるシステムを使って行うケースが多い。申告内容には、貨物の品名、数量、価格、原産地、適用される関税率などが含まれる。
申告を受けた税関は書類の内容を審査するが、すべてのコンテナが開けられるわけではなく、申告内容や貨物の種類などによって検査が必要と判断される場合があるという認識でOKだ。検査には書類確認のほか、大型X線検査装置を使う方法や、コンテナを検査場へ移して貨物を取り出し、現物を確認する方法もある。当然ながら検査対象になれば、その分だけ搬出までの時間が延びるのはいうまでもない。
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食品、植物、動物、医薬品などは、税関だけで手続きが完結しないこともある。食品衛生法に基づく届出、植物防疫、動物検疫など、貨物に応じた確認や許可が必要になるためだ。必要な書類に不足があったり、表示や成分の確認に時間がかかったりすれば、コンテナは港に到着していても動かせない。
審査や検査が終わり、関税や消費税などが納付されると、税関から輸入許可が出る。ここでようやく貨物は外国貨物から「内国貨物」となり、法的には国内へ引き取れる状態になる。とはいえ、輸入許可が出た瞬間にトレーラーが自由にもち出せるわけではない。
コンテナターミナルから実際に搬出するには、船会社側の引き渡し条件が整うことも必要だからだ。さらにデリバリーオーダーと呼ばれる荷渡指図が出ている必要がある。そしてターミナルへ搬出情報を伝え、搬出票や受付情報を準備する。現場で「搬出可」と扱われるには、税関の輸入許可だけでなく、船会社やターミナル側の条件が必要なのだ。
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同時に、荷主側は海上コンテナを運ぶトレーラーとドライバーを手配し、倉庫や工場の受け入れ時間も調整する。港によっては来場予約が必要であり、ゲートの混雑やコンテナの置かれている位置によって待ち時間が発生することもある。荷主の手配が遅れれば、輸入許可が出たコンテナでもヤードに残り続け、無料保管期間を超えた場合は追加費用が生じる可能性もある。
このように輸入コンテナの輸送は、船から降ろせば終わりではない。到着通知、書類準備、輸入申告、審査や検査、納税、輸入許可、船会社の引き渡し、ターミナルの搬出手続き、そしてトレーラーの手配がつながって、ようやく港を出られる。岸壁に積まれたコンテナはただ置かれているように見えても、その裏側では多くの会社と行政機関が情報を動かし、国内輸送へ渡す準備を進めているのである。