被害者の「ケガもないし大丈夫です」で立ち去るとアウト! 軽い事故でものちに「ひき逃げ犯」になるケースは多かった (2/2ページ)

本気にするとヤバい被害者の「大丈夫」

 あり得る話として、もっとも可能性が高いのが、歩行者や二輪車などとの事故の際に、相手が「大丈夫」と言ったので現場を立ち去った、というケースだ。事故という認識もない程度の接触だったからと、その場限りで解決したと思っても、あとになって相手が事故として通報していたとすれば、後日警察に身柄を拘束されてしまいかねないのだ。

 ひき逃げ、という語感は重大事故を想像させるが、軽い接触で、被害者に怪我がなかったとしても、ひき逃げは成立する。齊田弁護士によれば、こういうことは少なくないのだとか。「私たちが受ける相談も、そういうケースが多いんですよ。とはいえ、被害者が大丈夫と言っても、通報する義務はありますから、そこは必ず守らないといけませんよね。事故かどうかを、自分で判断するのは間違いのもとです」

 さらに、思いもよらない事態に発展することもある。事故が発生した際に、道幅や交通量などを考慮。現場に留まるのは危険だと判断して多少離れた場所へ移動したら、警察に逃亡の意思があったとみなされた、という信じ難いケースだ。

「その場に停車するのが適当ではないと考えて、安全と思われる場所に数百メートル程度動いただけでも、ひき逃げや当て逃げだと警察は認定しうるので、路肩に寄せるなどすることで安全確保に努め、可能な限り現場から離れないことが大事です。理不尽なようですが、安全確保のためなのか、逃亡しようとしたのか、そのときに考えたことは目に見えず、証明できませんから、移動したという客観的な事実だけで判断されてしまうんですよ」

 結局、交通事故を起こしてしまったら、どんな些細なことでも、自分の基準を根拠に勝手に判断するのはタブーだと思っておいたほうがいい。

どんなに軽微な事故でも必ず警察に通報すべし!

 ひき逃げほど深刻ではないと思われがちで、知らず知らずに犯してしまいそうな事案が当て逃げだ。もちろん、クルマや、衝突した建物などが大きく破損するような事故で逃走はしないとしても、駐車場で隣のクルマにドアをぶつけてしまったくらいでは、あまり警察へ通報しようとしないのではないだろうか。

 たとえば、ショッピングモールなどの駐車場で隣のクルマにドアを当ててしまった場合、相手の所在がわからないので、連絡先のメモを残しておいたりはしないだろうか。筆者の場合、それを見て相手に連絡を取り、当事者間で穏便に解決した経験がある。しかし、いくら連絡先を残したところで、被害者が警察へ通報すれば、当て逃げが成立してしまう。

「報告義務を怠った、ということにはなりますし、のちのち話がこじれる可能性もあります。リスクを冒さないという観点からも、当ててしまった自覚があるなら必ず自分で通報してください」

 いわゆる自損事故で、電柱やガードレールに接触したなどという場合も、通報することはないかもしれない。しかし、もしも管理者がなんらかの理由で損傷に気づき、警察の捜査対象になれば、弁償だけではなく、当て逃げについての刑事責任も問われることになる。山道などで、「こすってしまったけど、傷だらけのガードレールだから大丈夫」などとタカをくくっていると、痛い目を見ることになりかねない。

 逆に言えば、被害者になった際も、通報すれば泣き寝入りになる確率は低くなる。繰り返しになるが、どんな小さな事故でもまず通報。これが基本中の基本だ。

頼るべきは法のプロフェッショナルの弁護士

 万が一にも、魔が差してひき逃げや、あて逃げを犯してしまった最悪のケースを考えてみよう。弁護士に相談することで、事態は改善できるのだろうか。

「自首しようとした場合、本人だけでは警察の受け入れ体制が整っていないとして、門前払いされることもありますが、弁護士が同行することで、その後の取り調べについても、不当に長時間行われることが牽制できますし、逃亡のおそれが少ないと判断されるので、逮捕される可能性を下げることも考えられます」と齊田弁護士。

「とはいえ、逃げたばかりに免許を失うだけでなく前科もついてしまえば、その後の人生において足カセになってしまうことも多いです。たとえば次に交通違反を犯した場合に罪が重くなりますし、最近は少なくなっていますが就職に支障をきたすこともあり得ます。逃げ得などと安易に考えず、適切な対応こそ、ご自身の人生におけるマイナスを減らすことになるのだと考えていただきたいですね」

 また齊田弁護士は、ひき逃げに限らず加害者になってしまった場合、まず弁護士事務所に電話相談することも提案する。法律の専門家にアドバイスをもらえば、事故後の対応を適切に行えるからだ。それを踏まえ、状況に応じて依頼するか決めることもできる。

 むろん、事故を起こさないよう注意して運転するのが大前提だが、万が一にも加害者になってしまったときには、とにかく法律に定められたとおりに行動することが、結局は我が身を助けることになる。決して逃げ得も、正直者がバカを見ることもないのだ。

※本記事は雑誌「CARトップ2025年8月号」の記事を再構成して掲載しています


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