三菱ラリーアートが31年の歴史で初の快挙! 日本ペアによる「アジアクロスカントリーラリー」総合優勝と闘いの裏側 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■AXCRで「チーム三菱ラリーアート」が2連覇を達成した

■歴史上初となる日本人ペアによる総合優勝を飾った

■総監督とドライバー3名が帰国会見を行った

31年の歴史において初の偉業!

 8月15日、日本に吉報が届いた。三菱自動車が支援するワークスチーム、「チーム三菱ラリーアート」が2022年から参戦しているアジアクロスカントリーラリー(以下:AXCR)において、総合優勝を飾ったのだ。……と、このニュースだけであれば、そこは強豪ラリーアート、昨年も総合優勝しているだけに、「2連覇か、おめでとう!」となるのだが、今回のはいままでの実績とひと味違う。そう、今大会ではAXCR31年の歴史上初となる、”日本人ペア”による総合優勝なのだ!(ドライバーとしては2023年に青木拓磨選手がトヨタ・フォーチュナーを操り総合優勝、コ・ドライバーはタイ人2名)。

 なおこのAXCRという競技、8月9〜15日の7日間でタイ国内、悪路や密林など、道なき道をトータルで約2000km(うち競技区間は約920km)走破する、過酷を通り越した大冒険である。あまりの過酷さに、”アジアのパリダカ”とも呼ばれているそうだ。

 今回、「チーム三菱ラリーアート」を率いた名ドライバーにして名将 増岡 浩総監督と3台参戦するトライトンのうち、総合優勝を飾った106号車をドライブした田口勝彦選手とコ・ドライバーの保井隆宏選手の3名が、帰国したその足で羽田空港近くの会議室にて会見を行ったので、その現場に駆けつけた。

 まず会見では、三菱自動車代表執行役副社長を務める五十嵐京矢氏が、同チームに向けて「今大会ではスタートの合図を送るという大役を務めさせて頂きましたが、このような結果として返ってきてくれて嬉しく思っています。スタートの日は、ただ漠然と『勝ってくれ!』と祈っていました。5戦3勝で勝率6割というのは素晴らしい成果だと思います。高温多湿に密林だらけと過酷な場所で、三菱が誇る四駆技術が詰まったトライトンが大活躍したのはもちろん、ラリーアートの活躍も三菱の誇りです。このたびはおめでとうございます」と、チームメンバーへ向けて祝辞を述べた。

 さて、続いては気になるトークセッションだ。まずは総監督を務める増岡総監督から。

「今回のAXCRは『とにかく勝ちたい』という一心で立ち向かいました。その結果、日本人ペアによる初の総合優勝という嬉しい結果をもち帰れて、ホっとしています。今回は3台を走らせたんですが、どのチームも本当に強くて、まさに誇れるチームですね。チームを支えるスタッフたちとのチームワークも完璧でしたし、ライバルのトヨタやいすゞの猛追がありながらも、106号車はミスなしで完走できました。私が現役で走ってたときよりも嬉しいですね!」と、振り返った。

 増岡総監督曰く、今回のAXCRに向けてクルマは大きな改造をせず、エンジンレスポンス向上や、50:50の重量バランス、さらにサスペンションのチューニングなど、トライトンの素性を活かしつつ、昨年モデルをベースに改良するといった程度のセッティングで挑んだそうだ。ただ、日本から送ったパーツが現地の風土なのか、到着してから業者がのんびりしているせいでガレージに届かないといったトラブルがあり、マシンの完成は競技の2日前だったそう。「次回はもっと余裕をもって送ります(笑)」と増岡総監督は苦笑い。

 続いて、国内外のラリーやダートトライアルで活躍する田口勝彦選手。

「今回は増岡さんのいうように、すべてが上手くいったというのが全体的な感想ですね。エンジンやマシンの重量配分もバッチリでした。私は去年5位だったんですけど、ミスコースなどのトラブルがなければ3位は狙えたとこのときは思っていたので、それらの反省を活かした結果が今回の素晴らしい成果に繋がったのだと思います。とはいえ、ミスコースするかしないかは、相棒の保井さんが握っているので、コース系は彼に任せて、私は『パンクさせない』『マシンを壊さない』という、ドライバー側で防げるミスを徹底的になくすようにしました。タイヤ1本分ラインがズレるだけで、この競技はパンクするリスクが上がります。タイヤがダメになると、交換に8分前後掛かるので、リードが消えちゃうんですね。なので、マシンを壊さないことに尽力しました」と語る。

 ちなみにAXCRでラリーアートが送り込む3台のうち、田口選手のマシンだけサイドブレーキがついているそう。この競技においてサイドブレーキは不要と増岡総監督は語るが、田口選手は「いや。俺のにはつけてくれ」と熱望。ほかのチームのクルマにもほぼついていないそうで、106号車はまさに”田口スペシャル”だ。しかし、先ほどの「タイヤ1本分」のラインを攻めたり、小まわりをする際にこれが非常に有効だったそう。結果「あってよかったね」と、増岡総監督も考え方を改めたとか。

 コ・ドライバーを務めた保井隆宏選手は、「いやぁ今回はクルマが速すぎましたね。なので少しでもボケッとしてるとすぐ次のポイントになってしまうので大変でしたよ。ドライバーのイケイケ具合とは真逆で、僕はずっとプレッシャーを感じてました……(笑)。けど、結果的に勝ててよかったと思います」と、言葉少なめに感想を語った。

 保井選手は過去に迷子になったこともあるそうで、「この競技は道なき道を走るんです。しかも天気がころころ変わるので、数日前の道と今日の道では全然違ったり、川の水嵩が数倍になっていたり、もう大変ですよ。ドライバーは忙しそうに見えて意外と睡眠とか休息が取れるんですが、私はもう夜通しコースマップと睨めっこで……。AXCRは毎回生きた気がしないんですよ(笑)」と、コ・ドライバーならではの苦悩も漏らした。

 今回のAXCR、ラリーアートが総合優勝をしたといえ、圧勝だったわけではないようで、競技中は「全体的には上手くいったんですが、たとえばレグ3ではミスコースして1分ほどロスしたり、レグ5ではトヨタ勢に4分詰められたりもしたし、危ないシーンはいくつもありましたよ。2位に8秒差に詰められたかと思えば、5分以上のリードを築くこともありましたし。最終的には2分25秒という僅差で逃げ切れましたが」と田口選手は今回のAXCRを振り返る。


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WEB CARTOP 井上悠大 INOUE YUTAI

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