昭和はブラック職場の代名詞だが稼げる仕事だった新車セールスマン! 令和の世にはホワイト化したが稼ぎは減り……今後はAIに取って代わられる可能性大 (2/2ページ)

時代の流れに合わせた環境にシフトしつつある

 かつては就職したからには、自分の扱う新車しかマイカーとして選ぶことができないということもあった(いまでも多くはこの傾向のまま)。正確にいえば、通勤や業務で使うクルマは自社扱い車に限るとするディーラーが当たり前であった(完全プライベートで使うクルマは他メーカー車でも当然問題ない)。とはいえ、ベテランである程度稼げれば複数保有も許容できるかもしれないが、若いうちはなかなかそうもいかない。

 しかし、この前立ちよったある日系メーカー系ディーラーの若手セールスマンは、平然と「自分の愛車は他メーカー車なんですよ」と話してくれた。「それでは仕事用にもう1台もっているの?」と聞くと、「ウチは試乗車が豊富に用意されていて、試乗車を業務で使用できるだけではなく、通勤にも使えるようになっています」と答えてくれた。たしかに、いまどき自社扱い車に限るとすればたちまち「●●ハラスメント」にもなりかねない。

 海外でははるか昔からというか、自分の扱うメーカー以外のクルマをマイカーにするのは当たり前であった。日本では「あなたは扱い車のなかでどのクルマに乗っているの?」と聞いてくるお客もまだまだいるようであるし、「そもそも自分が売っているクルマを自分自身が乗っていないのはおかしい!」という風潮が日本ではまだ根深く残っている。

 過去には社員購入割引制度が充実しており、乗りたいクルマを安く買えるとして、そのクルマを扱うディーラーに入社する人も多かったが、いまでは社員購入割引制度自体が、ほぼ有名無実なものとなっていることも多いと聞いている。

 海外では仕事とプライベートは別として、社員購入割引制度があるにもかかわらず他メーカー車に乗るディーラースタッフがほとんどという光景を筆者も見てきた。

 日本でも若い人はすでに「仕事とプライベートは別」という価値観が浸透しているのは間違いない。また、入社したら自社扱い車以外乗ることができないでは、働き手不足のなかでの人材確保もままならないので、さらに社員購入割引制度が魅力ないものとなっているのならば、「そのまま好きなクルマをマイカーにできますよ」とするのも、いまどきの日本社会では必要なのかもしれない。

 事務所にスタッフ別の販売目標に対する受注状況を示す大きなグラフの掲示も、人権上の配慮もあり、できなくなったと聞いている。定時退社は当たり前で完全週休2日となり、さらに有給休暇の消化が少ないと無理やり有給休暇を取らされることもあるそうだ。収入面がいまひとつなのは、よほどの大企業か外資系企業にでも勤めないかぎり日本では業種に関係なくほぼ共通の不満となっているので、とくにクローズアップして問題にはならないともいえる。

 新車販売セールスマンは、気がつくとブラックな仕事の代表からホワイトな仕事の代表になっていたのだと、昭和世代の筆者は改めて最近感じさせられてしまった。ただしAIなどデジタル社会の進化次第では、富裕層を対象とする一部高級ブランド車を除いた普及車レベルでは、AIに取って代わられることでなくなる仕事の代表などともいわれるようになってきている。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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