アルファロメオらしからぬ全方位の優等生っぷり! 「ジュニア」の意外すぎる完成度の高さ【ガンさんこと黒沢元治のDPQ:アルファロメオ・ジュニア編】

すべてが80点台とも言える実用車としての完成度が◎

 今回試乗するクルマはアルファロメオのジュニアだ。

 駐車スペースでのファーストインプレッションは、特別に奇をてらった印象はないが、十分に個性が発揮されていて好印象。これまで乗ったアルファロメオは独自の世界感を持つ個体が多かったこともあり、楽しみでもあり期待感を持って走り出す。

 まずはゆっくりとサーフェスが荒れた路面を流す。路面からの入力に対して走りの質感は十分で、ボディ剛性の高さが感じられる。

 さらに、3気筒ターボと聞いていたが、特有のバラバラという回転振動はなく、知らずに乗れば4気筒だと思うようなバランスの取れたエンジンが好印象だ。

 ワインディング本線へと入り本格的にダイナミクス性能を確認する。前述したエンジンは1.2リッターで136馬力を発生。そこにわずかなモーターアシストが加わるマイルドハイブリッドという構成だという。加速は決して鋭いものではないが、必要にして十分。特徴的なのはアクセルペダルを思いっきり踏み込もうが、緩やかに踏もうがあまり加速感に変化がないところだ。ジュニアはBセグメントのコンパクトSUVであり、ファミリーユースなど実用性重視のジャンルであることを考えれば、これで正解とも言える。

 組み合わされるトランスミッションは6速DCT。試乗前、7速や8速が当たり前で、それこそ10速などもある現代において6速はやや物足りないのではないかと思っていたが、パワートレインとのマッチングもよく、バランスされていて非常に走りやすい。

 この加減速において不満のない優雅な走りを支えているのが1330kgという車両重量だ。もちろんクルマは軽ければ軽いほどいいのだが、前述した十分なボディ剛性を確保した上でのこの重量は、納得のいくものである。先ほど述べた6速という選択も、多段化すれば当然重量も重くなるため、車重とのバランスでみてもやはり正しい選択だと言えるだろう。

 サスペンションはこのクラスではスタンダードとも言える、フロント・ストラット、リヤ・トーションビームという組み合わせであり、非常によくできている。加減速時の前後方向の動きに対し、反力が発生するようなレイアウトとなっており、ノーズダイブ、スクウォートが抑えられて走りが安定しているのだ。また、リヤに使われるトーションビームは安価かつ軽量という特徴があるものの、一般的に横力に対して剛性を出しにくいというデメリットがある。しかし、ジュニアのそれはこのクラスでトップクラスの仕上がりで、上質な走りを支えている。

 ブレーキについても触れておこう。踏力に対する減速度のリニアさ、フィーリングが素晴らしい。また、決してディスク径は大きくないが、長いワインディングを走行してもフェードが感じられなかった。この点においても1330kgという車両重量が効果を発揮していることは間違いない。

 まとめよう。これまで試乗したアルファロメオは非常に個性のある走りを持っていた。だがジュニアは、特徴がないことが特徴と表現したくなるようなすべてが80点台のようなクルマである。ステランティスグループのなかでいろいろなものを共有して完成したであろうジュニア。非常に完成度が高く、ファミリーカーの代表格と言えるような仕上がりだった。

※本記事は雑誌「CARトップ2026年05月号」の記事を再構成して掲載しています


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