中国の海南省で2030年までにガソリン車販売禁止! 迷走する世界のEV政策と冷静な日本の「マルチパスウェイ」 (2/2ページ)

「BEV一択」はもはや時代遅れ

 2026年7月9日(木)、VWがドイツ国内4工場の閉鎖を検討、そしてリストラ規模は10万人に達するのではないかとの報道が世界を駆け巡った。欧州、とくにドイツ系ブランドは苦戦が強いられて久しい。その要因のひとつが、BEV事業へ前のめりになった末の過剰投資があるのではないかというのは、業界では「あるある話」だ。

 BEV販売は、日本も含めて政府などからの補助金に支えられているのが世界の現状。そのなかで中国系ブランドは、安価なBEVをさらに信じられないディスカウントによる乱売を各市場でしかけている。タイではすでに「日系同クラスHEVよりお手軽に新車がほしいなら中国系BEV」といわれるほどの乱売状況が常態化している。

 インドでは、マルチパスウェイ(BEVだけに依存しない脱炭素戦略)方向で進んできたように見えたのだが、改善に向かっているとはいえ、依然として深刻な大気汚染が都市部で問題になっている。それもあり、2026年7月1日より、いわゆるスクラップインセンティブ(2020年4月より前に購入した車両を廃車にすることで得られる購入補助金)として、BEV購入時に1060ドル(約17万円)を補助金として支給するということが報じられた。2026年7月1日より4年間が補助金交付期間となり、補助金のほか一部税金、登録手数料の免除も行われるとも報じられている。

 ベトナム政府は、2025年にいきなり積極的BEV普及政策に舵を切った。2026年7月より首都ハノイの中心市街地でのICEバイクを走行禁止とし、2030年までに都市部を走る四輪車の約50%を新エネルギー車に進める方向でいるとの報道もある(バス・タクシーは100%)というように、あまりに急な動きで現地で二輪車や四輪車ビジネスを展開するメーカーを中心におおいにザワつかせている。

 このような動きはあるものの、世界的に「これからはBEV一択」ということもなくなってきている。かといってBEVがこの世から消えるということもない。単純に自動車文化を発展させるというだけではなく、政治レベルなどでの皮算用が絡んでBEVを普及させようとしているところも否定できない。「○○年にICE車販売を全廃します」といった動きも、どこか政治的パフォーマンスが先行しているように見える。

「補助金は出すけどあとはノータッチ」というような丸投げ体質の典型にも見える政府の動きだが、日本の動きはある意味健全にも見え、消費者も環境性能の高いエンジン、優れたハイブリッド技術、そしてBEVと選択肢が多いなかで、賢明なチョイスをしているように見える。

 なにが正しいのかなかなか見極めができない世のなかにあっても、健全な市場維持のためには日本の現状が理想に近いのかもしれない。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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