【試乗】脳が揺れるほどの加速と後席足もとで正座ができる広さ! ボルボのEVセダン「ES90」は1300万円でも安すぎる (2/2ページ)

価格は安くても完成度の高さはライバル同等だ

 そうしたセダンとしての居住性と、荷物を積むラゲッジスペースは409リットル。後席を可倒すると922リットルから天井までを含むと1445リットルに広がる。これをボルボといえばワゴンのV90と比較すると、551リットル、904リットル、1517リットルと僅差。じつはES90、トランクではなくリヤウインドはハッチゲート式、つまり欧州が好む5ドアハッチバックセダンだった。

 都市部で乗るなら雰囲気にマッチするが、試乗は箱根の山坂道。ファットな22インチタイヤにもかかわらず、エアサスが衝撃をいなしてスムースにストロークさせる乗り味は基本的に滑らか。場合によってタイヤの硬さを感じさせる領域もあるが、それは2.5トンの巨漢を支えるためのタイヤの構造的な硬さに起因する。

 走行中にリラックスしたままストレスを感じないのは、車外からの走行音の侵入が少ない無音状態による恩恵。サイドの二重ガラスやボディの遮音効果、タイヤを含むロードノイズの低減も効果的。高級とは静粛性の高さだと、改めてそう思う。

 操縦性は癖のない滑らかさ、ステア操作に素直に応答して尖った特性を示さない。ところが走行モードは標準の「スタンダード」でもアクセル操作に対して先走る。つまり、意図した以上に加速が速い。筆者は基本的に”エコモード”を選択して、無用な速さを抑え込む。ボルボのエコモードが「レンジ」と呼ぶのはいつからか記憶にないが「レンジモード」こそ操作に気を使わず、ゼロスタートから加速も穏やかに滑らかにスムースな走行が叶う。

 驚くことにES90はエアサスの車高調整機能で地上高は30mm上がる200mm越え。車高が高いその姿勢は3100mmのロングホイールベースとともに、SUVばりに車高が高いクロスオーバーセダンの存在に変わる。

 そんな幅広いキャラクターを見せるES90だが、正直、いまの日本でセダンを選ぶ層がどれだけ居るのか疑問。ところが現状を聞くと、SUVのEX90よりもES90のほうに多くの注文が入る。古くからのボルボファンには”セダン”という選択肢があるようだ。

 唯一の難点は、最近のボルボは物理スイッチを省いてモニター内で操作すること。ステアリングの位置、ミラーの可変、ドライブモードや、回生ブレーキの強弱やワンペダルドライブは、階層の浅いところで操作できるようだが、その設定も慣れが必要だという点が煩わしい。

 最新の頭脳満載、装備充実でこのサイズ感からして最上位モデルが1300万円というプライスはライバルに対してバーゲン価格。そう、ボルボはいつも同格のライバルに対して半歩お安い価格を掲げる。新世代のBEVに切り替わったところで、もうライバルと正々堂々肩を並べていいのではないか? 完成度の高さを見て知ると、そんな思いが湧いてくる。


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