世に出なかったV10搭載「M5 CSL」にV8搭載「M3 CSL」。BMW Mのガレージに眠る名車を支えた幻のプロトタイプ (2/2ページ)

現行M4 CSLにもつながる開発史

M6 CSL(E63)

「BMW M6 CSL プロトタイプ(E63型・V10)」のテーマは、一貫して空力性能だった。軽量ドアパネルやセンターコンソールによる室内の大幅な軽量化に加え、自動可変式のテールスポイラーと格納式フロントスポイラーによるアクティブエアロダイナミクスを採用し、V10クーペのパフォーマンスをさらに引き上げようとした。

 もうひとつの先進装備が、2本のステーで支える「Mダブルスポークミラー」だ。当時は未来的な装備だったが、今日ではBMWのスポーティなモデルに欠かせない標準的な存在となっている。

M2 CSL(F87)

 最後は比較的新しい「BMW M2 CSL プロトタイプ(F87型)」だ。2018年にM2の辛口仕様である「コンペティション」が410馬力/550Nm、最高速280km/hというスペックでクラスに一石を投じたが、さらなる激辛モデルを求める声は絶えなかった。そこでBMW Mのエンジニアたちは、M2コンペティションをベースにM4 GTSの要素を取り入れ、450馬力/550NmのM2 CSLを作り上げてしまった。

 M2 CSLはバケットシートやロールバー、CFRP製センターコンソール、カーボン製リヤウイング、カーボンセラミックブレーキを備えた2シーターとして、理想的な軽量化を実現していた。一方で、より日常使いに適した装備をもつ450馬力の「M2 CS」も開発され、両車は社内で披露された。結果、量産モデルとしてゴーサインが出たのはCSLではなくCSのほうであり、BMW M2 CSLは1台限りの存在として歴史に埋もれることとなった。

 いずれの試作車も、市販化こそされなかったものの、後継モデルの開発に確かな足跡を残している。CSLといえば一部のM3・M4につくサフィックスという印象が強いが、その裏側にはこうした幾多の「生まれなかったCSL」たちの挑戦が積み重なっているのだ。


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