「人が乗って初めて完成する」四輪とはまったく違うバイクデザインの奥深き世界。二輪5社の現役プロが仕掛ける「美大生への講座」に潜入 (2/2ページ)

充実の講座内容

「フィジカルスケッチ」はデザインの基本となる手描きスケッチの講座。実車を前に、コピックを使って陰影、色相の描きわけをメインに進められました。一方、「デジタルスケッチ」は文字とおりタブレットを使っての描画で、やはり実車を前に細かな表現を追求します。

「CMF」では4名ずつの2チームにわかれ、まずテーマとコンセプト設定から開始。見本の実車に対し、二輪らしいさまざまなグラフィック表現が行われました。そして「クレイモデリング」では、見本となる実車の一部分が課題とされ、学生は独自の造形に取り組んでいました。

 学生は2日間の間に、これらの4領域をすべて体験できるというじつに贅沢なプログラムとなっています。
さて、主催のデザイン部門委員会は、この講座のほかに「モビリティデザインコンテスト」を実施していますが、こちらは中高生が対象であり、講座もスケッチ講習のみとなっています。この内容の違いにはどんな狙いがあるのか、今回幹事を担当したホンダの桂川さんに話を聞いてみました。

「モビリティデザインコンテストを含め、四輪のデザインはすぐにイメージできるのですが、二輪についてはそもそもデザインされていること自体が認識されていません。そこで、スケッチやCMF、クレイなど、四輪と同様の開発が行われていることをまず知ってもらいたい。また、デザイナー志望者の減少に対し、就職に結びつくという意味で大学や専門学校の1、2年生を対象にしています。最近は先輩からこのイベントの話を聞いたという学生も増えてきて、今回も定員以上の応募がありました(株式会社本田技術研究所 デザインセンター チーフエンジニア CMF 桂川碧さん)」

 意外ですが、じつは今回関東地区で初めての開催とのこと。これは、会場となる大学等に二輪デザイン出身の教員が少なく、会場選びに時間が掛かったためだそう。そんなところにも認知普及への苦労がうかがえますが、今回の参加者にはすでに二輪に興味をもっている学生もいれば、知識はないが、とにかく面白そうだから参加したという学生も少なくなく、14回に渡る講座の効果は着実に現れているようです。

 なお、初日は養成講座の後に若手デザイナーによる座談会、学生懇親会をもって終了。2日目は養成講座をメインに実施されました。この手のワークショップとしては非常に内容が濃く、来年度以降も注目するべきイベントといえそうです。


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すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

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