小型軽量オープンのBMW Z3にV12をぶち込む狂気! BMWが自ら作った幻の魔改造車 (2/2ページ)

非現実的すぎて市販されることはなかった

 ただ、このクルマに300馬力オーバーのV12エンジンが搭載されるのは、パフォーマンスを追求するファンにとっては夢のような構成にも見える。しかし現実は残酷だ。なんせこのZ3には、そもそもZ3 Mロードスター(クーペ)というホットモデルが存在しており、M3譲りの3.2リッターの直6エンジン(前期はS50、後期はS54)が搭載され、前期は321馬力、後期は325馬力を発揮。別にこのV12エンジンを搭載しなくても直6エンジンで同等の出力を発揮できていたし、エンジンのサイズも端的にいえば直6なので半分程度。重量も当然軽くなる。

 つまり、まったく存在する意味がないクルマだったのだ。

 誕生の背景としては、ドイツの自動車雑誌「Auto Zeitung」と、「最小のボディに最大のエンジンを載せてみたい」というZ3の開発リーダーを務めたブルクハルト・ゲッシェル氏の協力、好奇心があったそうで、大雑把にいえばお遊び企画で生まれたクルマだ。一応「狭いエンジンルームにデカいエンジンを載せたらどうなるか?」などのデータ収集も行われたほか、市販化も検討されたとかなんとか。

 しかし、あまりにも非現実的だったということで、結局市販されることはなく幻に。なお、あまりにもエンジンルームが熱くなりすぎるため、エンジンルーム内のECUなどを15分置きに冷やす装置などがついていたそうだ。

 ただ、マツダの2代目ロードスターや、少しサイズが大きくなるが、Z3とボディサイズが近い現行型のロードスター、はたまたGR86、BRZのエンジンルームにV12エンジンが搭載されているとイメージすると、男のロマンが詰め込まれた幻の名車といってもいいかもしれない。

 この魔改造マシン、現在はドイツ・ミュンヘンにあるBMWミュージアムに収蔵されている。


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WEB CARTOP 井上悠大 INOUE YUTAI

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