「流線型」っていつの時代の話!? 死語の世界と思いきや現代のクルマのデザインにも思想は受け継がれている (2/2ページ)

現代のボディデザインにも思想は生き続けている

 このクライスラー・エアフローと同じ時期に、タトラ77(T77、チェコ、1934年)が登場している。非常に空力特性に優れたボディ設計でCd値は0.2455、翌年型のタトラ77a(T77a)では0.212という極小抵抗係数で仕上げらた革新的なデザインだった。

 クライスラー・エアフローと同じアメリカ車としては、リンカーン・ゼファー(1935年)も流線型モデルとして市場に送り出されている。流線型モデルとして失速したエアフローに対し、ゼファーは流線型デザインを採用した最初の成功モデルで、ヘッドライトをフェンダーに埋め込み、空力特性を徹底して追求するデザインでまとめられていた。

 自動車の空力性能追求に関しては、量産車で見るよりレーシングカーで見たほうが、着目時期も実車への適用も早かった。走行スピードに直結する問題だけに、当然といえば当然で、たとえばポルシェ一連のレーシングカー、1960年代から1970年代初頭(906〜917)、1980年代(956/962)、1990年代(911GT1)、2010年代(919)を見れば明らかだ。

 共通していえることは、すべてのフォルムは空気抵抗を小さくすること(空気をスムースに流すこと=流線型)を基本に考えられ、時代が進化とともに、リヤまわりのダウンフォース、フロントの浮き上がり防止(=フロントダウフォースの考え方)、車体全体でのダウンフォース(=終着点はウイングカー)、空気抵抗係数とダウンフォースの高次元バランス化など、次々と進化を続けていることがわかる。

 同じことは量産車にもいえ、歴史の長い車種の歴代モデルを見ていくと空力の進化が見て取れる。たとえば、トヨタ・クラウンはどうだろうか。ただし、クラウンは長らくトヨタのトップフォーマルサルーンの位置にあり、必ずしも空力的に優れる理にかなったデザインが市場で支持を受けたわけではなく、重厚な押し出し感を強調したボクシーなデザインが主導権を握っていたという事実である。

 そのクラウンに流線型という表現を探すとすれば、それまでからデザインの印象を大きく変えたスピンドルシェイプ(紡錘形)の4代目MS60/70系が目に止まる。その後はボクシーなデザインに戻るが、そこからの脱却を図った12代目のゼロクラウンS180系、そしてこれがあのクラウンか、と見る者の度肝を抜いた現行16代目のS30系。これらのモデルは流線型をイメージするラウンドフォルムでデザインされている。

 丸みを多用した流線型のデザインは、一時影を潜めたようにも見えるが、流線という言葉の意味からする空力の考え方は絶えず進化を続け、平面を組み合わせた直線基調のデザインに見えても、実際には流線処理による空気抵抗の改善が図られてきた。いい換えれば、流線型の考え方は生き続けてきたのである。


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