【試乗】新型エルグランドは「超滑らか」「超静か」「超快適」な長距離移動が可能なミニバン! 一方ワインディングでは課題もみえた (1/2ページ)

この記事をまとめると

■第3世代e-POWERとe-4ORCEを採用した新型エルグランドに公道試乗

■大型ミニバンとは思えない自然な旋回性と滑らかな乗り味を実現

■シートの身体保持や後席の静粛性などさらなる進化の余地もある

新型エルグランドの実力を公道で吟味

 長い沈黙を破って登場した4代目日産エルグランド。前回、日産追浜のテストコース「グランドライブ」でリポートしたが、今回はいよいよ公道を走らせることができた。

 今回の試乗における第一印象はテストコースを走らせた時に極めて近く、新型エルグランドの走りを再確認することができた。従来型から一気に世代を飛び越えたような静粛性、モーター駆動ならではの滑らかで力強い加速、そしてe-4ORCEによって前後方向の車体姿勢を巧みに抑え込むフラットライド。単に豪華な大型ミニバンを作ったのではなく、日産が得意としてきた電動化技術とシャシー制御を総動員して、このクラスを席巻するトヨタ・アルファード/ヴェルファイアの牙城に挑む姿勢が鮮明に表れている。

 一般道、市街地、ワインディングを走り、2列目、3列目にも座った。さらに開発担当エンジニアから疑問点について詳しく話を聞いた。そこで見えてきたのは、新型エルグランドが完成度の高いミニバンであるというだけではなく、まだ大きな伸びしろをも残した存在だということだった。

 試乗したのはG e-4ORCE。パワートレインには第3世代e-POWERを採用する。1.5リッターの発電専用エンジンと5-in-1電動パワートレインユニットを組み合わせ、駆動そのものは前後アクスルに個別に配置される2モーターが担う。

 走り出して最初に感じるのは、とにかく室内が静かなことだ。エンジンが始動しても存在を強く主張せず、ロードノイズや風切り音もよく抑えられている。しかもアクセル操作に対する駆動力の立ち上がりが非常に滑らかで成熟している。e-4ORCEでは前後モーターを合わせたシステム最大トルクが500Nm以上とされるが、公道では数字ほど暴力的な印象を受けない。むしろ必要なだけのトルクが必要な瞬間に自然に現れ、気がつけば速度が乗っているという走行フィールだ。

 これは約2.5トンもある大型ミニバンには非常に重要な特性といえる。アクセルを踏むたびに乗員の頭を後方へ振るような加速ジャークでは、いくら速くても上質な走りとはいえない。新型エルグランドは速さよりもGの出方を整えることに力を注いでいる。そして、核心ともいえる進化を示しているのがe-4ORCEだ。

 エンジニアによれば、加速旋回時にはステアリング操作や横Gなどを見ながら前後駆動力を変化させる。アクセル開度が一定であっても、ステアリングを切ればフロント側の駆動力を減らしリヤへより多く振りわける方向へ制御する。前輪は操舵と駆動の両方を担当するため、旋回中に大きな駆動力を与えればタイヤの負担が増える。そこで後輪側へ駆動力を移しながら、必要に応じて左右個別ブレーキも組み合わせてヨーモーメントを作っている。従来のe-4ORCE以上にリヤモーターを積極的に使い、クルマをコーナー出口へ自然に向けようとしているのが新型の特徴だ。

 ワインディングを走れば、その効果は明確だった。これほど大きな車体でありながら、ステアリングを切ったときにフロントが外へ逃げていくような重苦しさは少ない。操舵に対してクルマ全体が自然に方向を変えていく。小径のステアリングと相まってクイックなハンドリング特性を示しているのである。

 ただし、ここで少し考えさせられた。ライントレース性は高く不満はない。しかし、走りが楽しいかと問われれば、それを第一目的にしたクルマでもないはず。いい換えると、高級ミニバンとしてはステアリング操舵応答ゲインがやや過剰ではないか。

 ドライブモードは「スノー・エコ・コンフォート・スタンダード・スポーツ・パーソナル」と6種類の設定から選択でき、スポーツモードを選ぶとアクセル応答、ステアリング、インテリジェントダイナミックサスペンションなどがより俊敏な方向へ変わる。しかし大型ミニバンとしては特性変化が過剰すぎるように感じるのだ。むしろチーフエンジニアお勧めのコンフォートモードで走らせたときのほうが、このクルマが目指した世界観に合っている。

 マンホールや舗装の継ぎ目を越えたときの入力では角が丸くなり、車体の上下は素早く収束する。高速道路を長時間移動するような使い方なら、極めて快適なグランドツアラーになるはずだ。そもそも高級ミニバンに「スポーツ」というネーミングは相応しくない。本来ドライブモードは幾つも必要なく、ドライバーの操作やセンサーから最適な制御を与えてくれればいいと考えているのだが、なかなか世のなかそうはならない。


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中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2026-2027日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
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海外巡り
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クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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