タイヤにとっての空気は構造の一部に匹敵
今回はタイヤと空気圧、その基本的な考え方について解説しよう。
タイヤは自動車の運動性能にとって、もっとも重要な構成要素のひとつだ。どんなに優秀なエンジンやサスペンションを有しているクルマも、路面と接しているのはタイヤの接地面だけだからだ。
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しかし、そのタイヤの内部を満たす空気の重要性をどれだけのドライバーが正確に理解しているだろうか? 「タイヤ内の空気の役割とその調整」、内圧がクルマの挙動に与える影響は非常に大きく、それを正しく認識することはドライビングできわめて重要なのだ。
まず、タイヤにとっての空気はたんなる中身ではなく、構造の一部に匹敵するという認識を持ちたい。空気はタイヤに加わる車両の重さや、路面からの入力を受け止め、タイヤ自体の変形を制御する重要な要素である。空気がなければ、タイヤは車体の荷重に耐えられず潰れてしまうし、逆に過剰な空気圧ではサスペンションのように衝撃を緩和する能力を失ってしまう。
つまり、タイヤと空気は一体で機能していると言える。タイヤは「空気を保持するシェル」として設計されていて、その中身の空気の量と圧力によってタイヤ特性は変化し、走行性能は大きく左右される。
よりデリケートな超偏平タイヤの空気管理
近年は一般的な市販乗用車においても装着例が増えてきた超偏平タイヤ。これはタイヤの断面比(:偏平率・%)が極端に小さい、サイドウォールの薄いタイヤを指す。サイズで言えば、たとえば235/35R19や265/30R20といったサイズがこれに該当する。
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超偏平タイヤの特徴を具体的に述べると、空気圧が高すぎる場合、タイヤはより硬くなり、接地面積は減少する傾向がある。これによって直進時の転がり抵抗は減る一方、グリップは低下する。また、硬いタイヤは路面の凹凸を吸収しきれず、とくに高速走行時に跳ねやすくなり、接地感を失いやすい。
逆に、空気圧が低いと接地面積が増えることでグリップ性能は(低速域に限って)一時的に向上するが、速度が高まるとサイドウォールのヨレが増して操縦応答性が曖昧になる。また過度に低いとタイヤの温度上昇が早まり、コンパウンドゴム内の局所的な発熱が過剰に起きてバーストに至る。
つまり、空気圧の高低は数値以上にクルマの反応の質や、走行安定性、安全性にも影響を与えているのだ。超偏平タイヤは、「空気で性能をつくる」時代の象徴であるとも言え、まさに”空気圧がセッティング”なのである。
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では、空気圧のわずかな違いは体感できるのか? 答えは「イエス」だ。筆者自身、1輪あたり10kPa(=0.1kgf/㎠)の違いでも、明確に車両挙動に差が出ることをサーキットやワインディングでの実走テストで何度も確認してきた。とくにフロントとリヤで異なる空気圧に設定すると、ターンインのシャープさやコーナー出口でのトラクションのかかり方まで変化する。