上場以来初の赤字転落に陥ったホンダ! 北米で「EVの潮目が変わった」だけじゃない四輪事業の根深い問題

この記事をまとめると

■ホンダは2026年3月期決算で最終損益4239億円の赤字を報告した

■北米EV戦略の大幅修正が必要となり「0シリーズ」やアキュラRSXの計画を中止した

■現在のホンダは不振な四輪事業を好調な二輪事業が支える状態となっている

0シリーズ中止が象徴するホンダの苦境

 本田技研工業(以下、ホンダ)はこれからどうなるのか? 直近の通期決算報告を受けて、ホンダの将来に不安を感じているユーザーがいるかもしれない。

 5月14日に公表された2026年3月期決算で、売上21兆7966億円に対して最終損益が4239億円の赤字となったからだ。

 ホンダが上場以来、最終赤字になるのは今回は初めて。最大の原因は、EV事業の大幅な見直しに伴う損益だ。総額で約2兆円に及び、これを2026年3月期と2027年3月期に振りわけると、オンライン開催した2026年3月期・第4四半期決算発表の時点で明らかにしていた。

 そのため、通期決算会見に集まったメディア関係者としては、心理的に大幅赤字は織り込み済みという意識があったように、筆者は感じた。

 会見で三部敏宏社長は「アメリカでの市場環境変化に対応しきれなかった」という説明に終始した。アメリカでの市場変化とは、第2次トランプ政権がオバマ・バイデン民主党政権が掲げてきた環境政策を大きく転換し、EV関連の各種補助金を廃止したり排ガス・燃費基準の見直しをしたことなどに起因する。

 こうした動きがあまりにも急激であり、ホンダが進めてきたEV戦略を維持することができないと判断した。具体的には、北米市場向け「0(ゼロ)シリーズ」の「サルーン」「SUV」と関連するアキュラ「RSX」の開発と販売計画を中止に。インド生産の「アルファ」の開発は継続する。

 また、ゼロシリーズがハードウェアの基盤となるモデルがある、ソニーホンダモビリティ事業については、事業のあり方を抜本的に見直すとした。

 ホンダのグローバル事業のなかで、北米は中核市場であり、バイデン政権下ではEV市場環境が大きく変わる可能性が高まったことで、ゼロシリーズ等の投入を企画し、そしてまたトランプ政権での政策が変わったのでホンダの事業戦略も変わる。

 一連の市場変化を俯瞰すれば「ホンダの判断は妥当」と言えるのかもしれない。だが、方針転換を明らかにするタイミングが遅かったという印象がある。

 では、ホンダが自社史上初の赤字となったのは、アメリカでのEV事案だけが要因なのだろうか。この点について、2026年3月期決算報告が終了して約1時間後、別室で行われた記者とのラウンドミーティングでのホンダ幹部の指摘が興味深い。

 二輪事業と四輪事業の関係性についての質問に関する「四輪事業は過去の成功体験が強い」という回答だ。そのうえで、グローバルで厳しい競争環境のなか、ホンダらしいクルマを作ろうとすると、他社にないニッチな商品を目指す傾向があるというのだ。

 一方、二輪事業の場合、ホンダはグローバルでのマーケットリーダーであり、商品戦略として王道を行くことができる。結果的に、グローバルでみると事業の収益性では、四輪事業よりも二輪事業の方が優れており、ホンダ全体を二輪事業が支える格好になっている。

 ホンダとしては、来る本格普期に向けてEV開発は継続するものの、当面は次世代ハイブリッド技術の熟成と市場導入を優先する構えだ。ホンダの行方をこれからも丁寧に追っていきたい。


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桃田健史 MOMOTA KENJI

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