都会住まいでも他人事じゃない。タヌキや鹿をクルマで轢く「ロードキル」が増加している理由と予防策 (2/2ページ)

ロードキルには発生しやすい時期と場所がある

 ロードキルが発生しやすい季節は全般的に春と秋。シカの場合は越冬地から夏場の棲息地への移動や繁殖期の時期にあたる。

 時間帯については、明け方や夕暮れが多い。エゾシカは夜行性で薄暗い時間に行動する「薄明薄暮型」。そのため、季節によっては人間が通勤・帰宅する時間帯に重なってしまうのだ。

 ロードキルには、件数は少ないが鳥類も含まれる。鳥類は巣立ちの季節である夏が多い。巣立ちに失敗したカラスなどが道で轢かれてしまうケースがあるとか。

 動物は種類によって行動特性が違う点にも注意したい。全国的にタヌキがもっとも多いのには、この点も関係している。

「タヌキは危険を察知すると立ち止まってしまう習性があります。また、つがいで行動することが多く、1頭が事故に遭うともう1頭がその場を離れず、2頭で事故に遭ってしまうことがあります」(鹿野さん)

 一方、シカの場合は群れで行動することが多い。

「群れのリーダー格に当たる1頭目の個体は比較的クルマを認識して、注意している印象を受けます。しかし、1頭目が道路を渡りはじめると、後ろの個体はクルマを見ずに1頭目を追いかける行動を取りますので、そういった個体が事故に遭いやすいと思います。また、蹄のある動物は舗装路で滑りやすく、路上で転んでしまったり。イノシシなどもそうですね」(佐藤さん)

 ロードキルが発生しやすい地形などはあるのだろうか。

「北海道では、道路の左右で森林がつながっているような場所、移動経路になっているような場所は事故が多いです」(鹿野さん)

「意外と平坦で見通しのいい直線で事故が多い傾向があります。おそらくドライバーがスピードを出しやすいからでしょう。見通しが悪いカーブなどではそれほど多くありません」(佐藤さん)

悲惨なロードキルを防ぐにはどう運転したらいいのか

 ロードキルのリスクを減らすのにもっとも効果的なのは、やはりスピードダウン。北海道の道路はついスピードが出てしまいがちだが、ブレーキが間に合わず事故になることが多いとか。

 また、シカに対して気構えをしておくことも大切。山間部でも市街地でもシカが飛び出してくる可能性があると思っていれば、おのずと運転の仕方も変わってくるはずだ。

 道路上の情報にも注意したい。シカなどが描かれた黄色い標識は、動物との事故件数が多い箇所や大きな事故があった場所に設置されている。また、北海道内では道路の維持・管理者が独自に設置している、「シカ注意!」といった仮設の看板も増えているようだ。

 そして、もしもロードキルに遭遇してしまったら……。自分が事故を起こしたら、やはり警察に連絡だ。任意保険でクルマを修理する際も、警察への連絡が必要になる。さらに、もし希少種を轢いてしまった場合には環境省にも申告が必要だ。

 一方、事故や交通の支障がなく、道路上に死骸を発見したという場合は、全国共通の道路緊急ダイヤル「♯9910」に連絡すると、死骸の迅速な回収につながる。動物の死骸は感染症などのおそれがあるため、絶対に触らないこと。

 自分には関係ない北海道ローカルのハナシ、と思うなかれ。2020年には東京・足立区でシカが捕獲され、昨年も都心などで複数回目撃されている。ロードキルに関するちょっとした知識や心がけで人間と動物のお互いの不幸を減らせるなら、それに越したことはない。

※本記事は雑誌「CARトップ2025年5月号」の記事を再構成して掲載しています


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