クルマもオシャレ文化になれる。原宿の若者を熱狂させて世界が注目する「KAWAII FITMENT」の正体 (2/2ページ)

カワイイの奥に見え隠れするガチなクルマいじり

3)【車両・アート視点】ポルシェ911に「落書き」!?

 今回のイベントのアイコンとして会場の主役を張っていたのは、なんとクラシックな「ポルシェ911SC」でした。驚くべきことに、その美しいボディにグラフィックアーティスト“Rakugaki Tokyo/AZI”氏によるストリートアートが大胆に施されていたのです。

 また、足もとのセッティングや全体のプロポーション、いわゆる「フィットメント(車高とホイールのツライチ具合)」の美しさは、カークラブ出身の彼らならではの仕上がり。そこに、あえて「落書き」というストリートカルチャーのキャンバスとしてポルシェを昇華させてしまうという、枠に囚われない自由なカスタムスタイルこそ彼らの真骨頂。

 名車へのリスペクトをもちつつも、自分たちのカラーに染め上げる。そのブレない姿勢が、車両のディテールからもビンビン伝わってきました。

4)【血統・カスタム視点】ベース車選びの妙! 歴代の「KFデモカー」たちが放つガチ感

 そんなアパレルやアートでの華やかな成功を支えているのは、彼らがこれまで作り上げてきたカスタムカーの「圧倒的なクオリティ」でしょう。彼らの仕立てるクルマは、いずれもかわいいグラフィックを纏いながらも、足もとは筋金入りのカスタムスピリットが息づいているのです。

 象徴的なのは、鮮やかなイエローにフルラッピングされた「スバル・インプレッサWRX STI」や「ホンダ・アコード」といったJDMの王道たち。限界まで煮詰められた車高調と絶妙なホイールマッチングによって作られる「面(ツラ)」の美しさは、ひと目見ただけで彼らが本物のカーガイであると教えてくれます。

 さらに驚くべきは、ド派手なバイナルを施した「フォード・マスタング」のようなアメ車から、かつてLUFT TOKYOで公開され空冷ファンを驚かせた「ポルシェ993」まで、車種の垣根を軽々と飛び越えてしまう柔軟性です。

 キャラクターのかわいらしさ(KAWAII)と、クルマのセッティングに対する執念(FITMENT)。この二面性が同居しているからこそ、単なるステッカーチューンに終わらない、乗り手としての「説得力」を生み出しているのでしょう。

 かつて私たちが夢中になった「クルマ文化」は、形を変え、より自由で、国境のないエンターテインメントへと進化しています。「KAWAII FITMENT」が原宿で魅せた景色は、まさに日本の自動車文化の明るい未来そのもの。ベテラン世代のクルマ好きも、彼らのセンスやクルマへの向き合い方から学べることは少なからずあるのではないでしょうか。

 彼らのことが気になった方は、ぜひ次なる動きに注目してみてください。日本の「カワイイ」が世界をシャコタンにする日は、もうすぐそこまで来ているのです。


この記事の画像ギャラリー

石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

文筆業

愛車
三菱パジェロミニ/ビューエルXB12R/KTM 690SMC
趣味
DJ(DJ Bassy名義で活動中)/バイク(コースデビューしてコケまくり)
好きな有名人
マルチェロ・マストロヤンニ/ジャコ・パストリアス/岩城滉一

新着情報