この記事をまとめると
■国産車は25度前後の設定でも快適に冷えるよう設計されている
■輸入車は気候の違いから22度前後が快適な場合がある
■AUTO設定や内外気切り替えで効率よく車内を冷やせる
輸入車のエアコンは冷えにくい?
かつて筆者が免許を取りクルマに乗り始めたころは、新車にはヒーターのみが標準装備され、助手席の前に装着するクーラーはオプション……ということがほとんどだった。しかしいまでは軽自動車でさえエアコンが標準装備され、ほとんどがオートエアコンだ。
オートエアコンは、車内外の温度や日射などをセンサーで検知し、設定した室温になるように温度・風量・内外気切り替えを自動調整してくれるもので、外気温や室内温度が変わっても、自動で快適な室内環境を保ってくれる空調設備だ。それにはA/C=エアコンコンプレッサースイッチがあり、A/CスイッチをONにすればコンプレッサーが起動し、冷風や除湿機能を発揮する。OFFにすればコンプレッサーが作動せず、送風だけとなる。ただし、エアコンのAUTOスイッチをONにすれば、基本的にA/CはONになる仕組みだ。
エアコンの操作パネル画像はこちら
そこで気になるのが、オートエアコンの設定温度だ。乗員の暑がり寒がりにもよるのだが、日々、愛車はもちろんさまざまな国内外の新型車に試乗している経験から、前席であれば夏でも国産車は25度設定で十分に涼しく、快適だといえる。
一方、輸入車の多くは事情が異なる。オートエアコン25度設定では、日本の高温多湿な夏において涼しい快適温度になることはまれ。20~22度設定にしないと快適な室内空間にならないことがある。
これは、国産車に比べて輸入車のエアコンはお粗末だから……ということではない。エアコンの設計思想の違いがあるからだ。国産車のエアコンは高温多湿な日本の夏の環境に合わせて空調性能を作り込み、体感的に素早く車内を冷やすことを前提に設計されている。
日本の夏・田園風景画像はこちら
とくに気候の安定した国の輸入車の場合、かつてはエアコン未装備が基本だった。製造国にもよるが欧州のクルマはエアコン設計において日本ほどの蒸し暑さを前提とせず、除湿や温度の安定感を重視しているため、日本の暑い時期に国産車の25度オート設定に準じた空調性能を得るには、実際にドイツ車に乗っている筆者の感覚でも、22度あたりの設定が望ましいことになる。
気候変動により例外もあるが、たとえば南ドイツのミュンヘンの8月の平均気温は最高24度。朝晩は12度前後まで下がることもある。フランスでも6~8月の平均気温は20度前後、最高気温も25~30度となっている。しかも欧州は日本より湿度が低めで、通年カラッとしている気候だ。よって、オートエアコンの快適温度、除湿機能設計は、国産車と異なるというわけだ。
輸入車のエアコン吹き出し口画像はこちら
日本で大量に売れているドイツ車のエアコン、そしてアメリカ・アジアのクルマは、比較的国産車に近い性能を備えている。しかし、少し古めのフランス車やイタリア車となると、酷暑日ではオートエアコン22度設定でも涼しさが足りず、20度まで下げると快適にはなるものの、ファンの音が高まり、涼しさと引き換えに車内が一気に騒々しくなったりすることがあったりする……。