対面での配送はやっぱりやり甲斐がある
現場でのあるある 台車の忘れ物
4回目になって初めて気づいた失敗もある。それが「台車の置き忘れ」だ。配達を終えてクルマに戻ってきたとき、荷室のなかにはクラフト包装紙のゴミがたまっている。それをゴミ袋に詰める際、うっかり台車をその場に置いたまま出発してしまうことが2度あった。次の学校に着いてから台車がないことに気づき、前の学校まで戻る羽目になった。
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こうしたミスは、疲労がたまる週末に近づくほど増える傾向がある。金曜日の午後になると集中力が落ちて、細かい確認がおろそかになりがちだ。もし街なかで持ち主不明の台車を見かけたら、配達員が疲れて忘れていっただけかもしれない、というのはこの仕事をしてみて実感したことである。
体への負担と天候対策
手積み・手降ろしの作業は、思った以上に腰への負担が大きい。物流関係のトラックドライバーやフォークリフトのオペレーターに話を聞いても、口をそろえて「とにかく腰に気をつけろ」といわれる。左右のドアからバランスよく荷物を取っていき、車内中央に荷物を残さないようにするのも、前かがみの姿勢を減らして腰への負担を抑えるための工夫だ。
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天候対策も欠かせない。中学校には必ず校門があり、そのほとんどが横に大きくスライドする重い引き戸だ。門は基本的に閉まっているため、1校配布するたびに「門を開ける→クルマを入れる→門を閉める→荷物を渡す→門を開ける→クルマを出す→門を閉める」という一連の動作が発生する。晴れていればまだいいが、雨の日はこれを傘をさしながら行う必要があり、しかもクラフト用紙は濡れに弱い。
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真夏の炎天下で汗をかいた状態から、冷房の効いた車内に戻ってまた次の配達先へ、というのを繰り返していると体調を崩しやすい。実際、2年目にはこのパターンで風邪を引いたことがある。それ以降は、学校間の移動距離が短い(15~20分程度)ことを踏まえ、夏場は冷房をつけたまま窓を少し開けて外気を取り入れるようにしている。
人との関わりが仕事を支えている
配布先が学校ということもあり、先生や生徒、業務員の方など、いろいろな人と顔を合わせる。荷物を手渡しした際に「ありがとう」と一言もらえると、それだけでやりがいを感じる。宅配ロッカーや置き配が主流になりつつある今、対面で感謝の言葉を受け取れる機会は貴重だと思う。
倉庫のスタッフや運行管理の方、とりわけフォークリフトのオペレーターとの関係も、この仕事を支える大きな要素だ。パレットの高さを調整してもらったり、日差しを避けられる場所で作業させてもらったりと、細やかな気遣いのおかげで毎朝スムースに積み込みができている。筆者自身、昨年その一部を自分でもできるようにと、フォークリフトの免許を取得した。
ただし実際の倉庫の朝はさまざまな業者が入り乱れる慌ただしい現場で、素人がいきなり運用に加わるのは難しいと痛感した。結局は今年もオペレーターの方にお願いする形になったが、その動きの滑らかさは一朝一夕には真似できないものだと改めて実感している。
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4トンの荷物を10日間で186校に届けるこの仕事は、単純な「配るだけ」の作業に見えて、実際には学校ごとの搬入経路の把握、台車や道具の選び方、車内での積み方、体力の管理、天候への対応など、数え切れないほどの工夫が積み重なって成り立っている。4年間続けてきたことで、こうした細かなノウハウが少しずつ蓄積され、今年は大きなトラブルもなく作業を終えることができた。
普段何気なく受け取っている宅配便も、こうしたひとつひとつの工夫や、現場で働く人たちの気遣いに支えられているのだと、身をもって知ることができたのは大きな収穫だった。もしこれから軽バンでの配送業務に挑戦してみたいという人がいれば、道具選びや積み方だけでなく、体力配分や倉庫スタッフとの関係づくりも含めて、ぜひ参考にしてもらえればと思う。