セナのロータス98Tに“青いフェラーリ”も! スイス「フォーミュラ1博物館」の展示にマニア悶絶
旅行の道中で発見するも断腸の思いで退散……
フォーミュラ1博物館の存在を知ったのは、昨年の秋。家内とふたりでラインクルーズを愉しんだときのことだ。約1週間の”船旅”を終え、翌朝にはスイスのバーゼルに上陸するだけとなった最終日。「バーゼルの市内観光を」と考えてグーグルマップを検索していて「Formel 1 Museum」の文字が目についたのがきっかけだった。

バーゼルから同博物館のあるランゲンタールまでは60kmあまり。クルマで1時間ちょっとの至近距離で、朝食後に下船してレンタカーで向かえば昼過ぎにはバーゼルまで帰ってくることはできるが”船旅”で疲れが溜まっていた家内に言い出すのは憚かられ、後ろ髪を引かれる想いでフランクフルトに向かう電車に乗ったという経緯があった。
だから今回、マニクール・サーキットで開催されるヒストリック・デイを取材するにあたり、スイスのチューリッヒに飛び、クルマで博物館を訪ねながらマニクールに向かうのは、ある意味必然だった。
F1マシンだけでなく多様なクルマとバイクが集合
ボーデン湖畔にあるオートバウ・アドベンチャーワールドを訪ねた翌日、連泊したドイツのホテルからまずはベーレツヴィル交通博物館を訪ねるが、この日は休館日。ただし、丘の上に建つ瀟洒な博物館で、叶うならもう1度、開館日に訪ねたいと思わせる博物館だった。
そこで気を取り直して、この日2軒目となるフォーミュラ1博物館に向かうことにした。距離にして110km余り、クルマで約1時間半のショートドライブだが、博物館巡りの弾丸ツアーでは日常茶飯のスケジュールだ。
こうして辿り着いたフォーミュラ1博物館は、スイス人で元レーシングドライバーのジョー・フォンランテンのプライベートコレクションがベースとなっている。メインエントランスを入って入場券を買い、階上に上がると展示ホールがある。10台を超えるF1マシンに加えてF2やF3といったミドルフォーミュラが列をなして展示されている。

だが、このレーシングフォーミュラ・コレクションは広大な展示ホールの一角に過ぎず、4輪のロードカーやチューニングカー、ツーリングカーレースやラリーの競技車両、ヒルクライム競技用のGTカー、さらにはレーシングカートや2輪のロードレーサーやモトクロッサー、レーシング・サイドカー、そしてレーシング・トラックまで、さまざまなクルマとバイクたちが広大な展示ホールを埋め尽くしていた。
個人的に気になったベストモデルは1952年から53年にかけて、2リッターのF2によるグランプリシーズンを席巻したフェラーリのティーポ500。コスワースDFVや1.5リッターツインターボを搭載したマシンにも興味を引かれるが、こうしたレジェンドが展示されていることで博物館の懐の深さがうかがわれる。また国内ではレース開催が認められてなくヒルクライムが盛んなスイスらしく、ヒルクライム用のマルティニにも興味津々だった。
1953 Ferrari 500F2・Ferrari Tipo500 2L IL4 Twincam
1950年から始まったF1(4.5リッター以下のNAと1.5リッター以下の過給)マシンによる世界選手権は、1952年と1953年の2年間のみはF2(2リッター以下のNAと500cc以下の過給)マシンで争われた。この2シーズンを席巻したのがフェラーリ500F2。NA2リッターの直4DOHCを搭載していた。
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1967 Ferrari Fantuzzi Dino 196 S
1956年にフロントエンジンのF2マシン、156F2で始まったディーノシリーズは、それ以降シングルシーターに加えて2座のスポーツ/レーシングカーが続々登場。第1陣は1958年の196Sだが、こちらはファントゥッツィ製のレプリカで1967年に製作されている。
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1973 McLaren M23・Ford-Cosworth DFV 3L 90° V8
1974年からマールボロ・カラーを纏うようになったマクラーレンの傑作のひとつがM23で1973年にヤードレーカラーでデビュー。展示パネルには1973年式とあるが、低いインダクションポッドから1976年の王者、ジェームス・ハント車と思われる。
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1985 Lola T900・Ford-Cosworth DFX 2650cc 90° V8 Twin-Turbo
こちらはF1マシンではなくCART用の1985年式ローラT900。ベアトリス・カラーはマリオ・アンドレッティの愛機。カラーリングから一瞬、同年のF1GPに参戦したローラTHL-1かと勘違いしたが、雰囲気の違いに気づき、プレートで確認したらCART用のT900だった。
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1986 Lotus 98T・Renault EF15 1.5L V6 Twin-Turbo
長年続いたJPSカラーを纏った最後のロータスが1986年の98T。チーム在籍2年目でエースとなったアイルトン・セナがシーズン16戦のうち半数の8戦でポールを奪って2勝をマーク。次代の王者として認知されることになった。
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1984 Williams FW09・Honda RE164E 1.5L 60° V6 Twin-Turbo
1983年に15年ぶりのF1活動を再開したホンダが、翌84年からのエンジン独占供給先に選んだウイリアムズの主戦マシンで、ひと足早く1983年の最終戦でデビュー。ケケ・ロズベルグが予選6位、決勝でも5位入賞を果たすなど上々のデビューを飾った。
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1991 Lotus 102B・Judd EV 3.5L 76° V8
1990年にデビューした102はランボルギーニのV12を搭載していたが、1991年の102BはジャッドのV8に換装。オフにはいすゞのV12エンジンをテストした102Cを経て、登場した1992年の主戦マシン、ロータス102DではコスワースのV8に換装。資金難に悩まされたロータスのウルトラCがこの”使い回し”だった。
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1993 Benetton B193・Ford-Cosworth HB A7, A8 3494cc 75° V8
ベネトンが1993年シーズンに投入した主戦マシン。前年シーズンを戦ったB193はB193Aと呼ばれるようになった。B193Bは、B193Aに対してセミオートマチックやアクティブサスなどの最新機能を備えたアップデート版となっている。
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1997 Martini MK 77 for Hill-Climb・BMW 3L Straight-6
F3などのミドルフォーミュラでもよく知られているフランスのレーシング・コンストラクター、オートモビルズ・マルティーニが1997年に製作したヒルクライム用の競技車両。BMWの3リッター直6エンジンを搭載。インターセリエ・シリーズで活躍した。
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1997 Ferrari 310B・Ferrari Tipo 046/1B, 046/2 2998cc 75° V10
フェラーリ310Bは1996年に登場した310の後継発展モデルで、エンジンも3リッターV10の046を再チューニングした046Bを搭載していた。ただし空力性能で後れを取ったか、高速サーキットでのパフォーマンスがいまひとつ。ミハエル・シューマッハを擁しながらもタイトルを逃してしまった。
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2003 Orca C113 Coupe・Audi 4.2L V8 Twin-Turbo
大メーカーからパワーユニットを手に入れ、ハイパフォーマンスでエキセントリックなコンプリートカーを製作する。スケールの違いはあれど、そんなモンテヴェルディのスタイルにならったオルカが製作したスーパースポーツがC113。アウディの4.2リッターV8ツインターボを搭載していた。
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2004 Sauber C23・Petronas 04A(Ferrari Tipo 053) 2997cc 90° V10
ザウバーが2004年シーズンに投入したマシン。フェラーリの前年モデル、F2003-GAに酷似していて”青いフェラーリ”とも揶揄された。シーズン中盤から後半にかけて開発・熟成が進んで戦闘力も高かったが、シーズン序盤の出遅れが響き、ランキングは前年同様の6位に。
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2009 BMW-Sauber F1.09・BMW P86/9 2400cc 90° V8
同じくザウバーが2009年シーズンに投入したマシン。KERS(運動エネルギー回生システム)の開発に注力したシーズン前半は苦戦を強いられたが、使用しないと決めた後半戦は成績も持ち直した。
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2011 Radical SR3 RS
イギリスのラディカル・スポーツカーズが製作したFIA-グループC3クラスの車両でGTカーレースやヒルクライムなどで活躍。SR3 RSはスズキ製のスーパーバイク、隼用の1340㏄ 直4エンジンを搭載。同エンジンをベースに自社開発した2.7/3.2リッターV8を搭載したロードモデル、SR3 XXRも存在する。
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フォーミュラ1博物館 Formel 1 Museum
Lotzwilstrasse 66 · 4900 Langenthal, Switzerland.
開館時間:9:00~23:00
入館料:12.00CHF(CHF=スイスフラン、邦貨換算約2440円)
フォーミュラ1博物館画像はこちら
フォーミュラ1博物館はスイス北部のランゲンタールにあって、仏独との国境に面したバーゼルからも空の玄関口であるチューリッヒ国際空港からも、それぞれ1時間余りの至近距離にある。日本からの直行便やヘルシンキ経由便などを使うとチューリッヒには早朝に到着するため、午前中には観終わることになる。開館時間は夜の11時までとなっているから、たとえば、チューリッヒから1時間足らずにあるスイスで屈指の自動車博物館、ルツェルンの交通博物館を午前中に訪れ、さらに昼食をゆっくり楽しんだ後、1時間足らずのショートドライブでフォーミュラ1博物館を訪ねるスケジュールもおススメメだ。
※本記事は雑誌「CARトップ2026年10月号」の記事を再構成して掲載しています
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