この記事をまとめると
■ラリーカーに設けられたダクトや小窓にはそれぞれ明確な役割がある
■ルーフは乗員の冷却と室内の加圧ボンネットはエンジンルームの冷却を担う
■雨やダストが入る弱点も抱えながら競技に必要な機能として活用されている
ただの冷却用……だけじゃない
全日本ラリー選手権・第7戦「MSCCラリーin福島伊達」が9月25〜27日、福島県伊達市で開催。福島県としては8年ぶりの全日本復活となるなか、各クラスで激しいバトルが開催されており、トヨタGRヤリスRally2を駆る新井大輝選手が、最高峰のJN-1クラスでシーズン4勝目を獲得した。
それにしてもJN-1クラスは国際規定のRally2仕様車と国内規定のJP4仕様車が対象モデルとなっているだけに、いずれも改造範囲が広く、本格的なラリーカーといえる仕上がりだ。とくに目を見張るのが、巨大なエアダクトだといえるだろう。
JN-1クラスのマシン画像はこちら
具体的にはルーフ上にエアダクトが設けられているほか、ボンネットフードの両サイドにもダクトが設けられているのだが、果たしてラリー競技車両に設けられているこれらの“穴”は、なぜ開けられているのか? 雨や埃は入ってこないのだろうか?
というわけで、ここではSUBARU RALLY TEAMに帯同し、同チームのJP4モデル「Boxer Rally spec.Z」の開発を担うスバルの若手エンジニア、小坂典嵩氏を直撃。サイドウインドウに設けられている小さなスライド式の窓を含めて、ラリーカーに開けられている“穴”の役割を解説してもらった。
小坂典嵩氏画像はこちら
──まず、ルーフの前側に大きなダクトがありますが、あれは何用の穴ですか?
小坂氏:これはルーフベンチレーターと呼ばれるもので、室外から空気を取り入れてクルーを冷やすために設置されています。エアコンが装着されていない競技車両は室内が暑くなるので、ドライバー、コ・ドライバーのそれぞれに風が当たるようになっています。
──なるほど。でも、穴が空いているので、雨が入ったり、グラベルラリーではダストが入ってきたりしないのでしょうか?
小坂氏:対策はしていますが、防ぎきれないので入ってきますね。それでも、エアコンの吹き出し口と同じように室内で開閉ができるので、気になるようでしたらクルーが閉めています。もちろん、雨も入ってくるので雨の降っているパルクフェルメではメカニックが浸水対策としてテープを貼っています。
ルーフダクト(別マシン)画像はこちら
──そのほか、ルーフベンチレーターのメリットはないのでしょうか?
小坂氏:走行風を取り入れることで室内が加圧されるので、サイドウインドウやドアの隙間、トランクの隙間から埃が入ってくることを防ぐことができますね。
──でも、ルーフベンチレーターからはダストが入ってくる(笑)
小坂氏:クルマの一番高いところにルーフベンチレーターはついているので、そこから入ってくるものはしょうがないです(笑)