ラリーは「速く走る」だけじゃ勝てない! 破損したマシンの応急修理もドライバーの大切な能力だった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■全日本ラリー第5戦「ARKラリー・カムイ」は悪天候で多くのマシンがダメージを受けた

■ラリーではドライバー自身が車載工具だけで応急修理を行う場面も多い

■現役トップドライバーたちは即席修理で危機を乗り越えてきたと語る

応急修理も勝つために重要なスキル

 2026年の全日本ラリー選手権は早くも折り返しを迎え、7月10〜12日、北海道ニセコ町を舞台に第5戦「ARKラリー・カムイ」が開催。レグ1、レグ2ともに雨に祟られ、ウエット路面のなか激しいタイム争いが展開されていた。

 それにしても、シーズン初のグラベル戦となった同ラリーでは、ウエットコンディションということもあって脱落者が続出するサバイバルラリーが展開された。無事に走破した選手たちも深く掘れた轍の影響からか、激しいダメージを負うマシンも多かった。

 当然、レグ1、レグ2ともにサービスパークでは、各チームのメカニックたちがルーティンのメンテナンスに加えて、マシンのリペア作業を実施。さらにラリー競技では時としてドライバー、コ・ドライバーもメカニックとしてリペア作業を行うことも珍しくはない。とくにSSでマシンを破損した場合、ドライバー、コ・ドライバーの2名だけで対応しなければならず、パンクした際のタイヤ交換はもちろんのこと、すべてのトラブルに対して、SSあるいはロードセクションで応急処置を行わなければならないのである。

 しかも、使用できるアイテムは車載に載せている工具とパーツのみ。そのため、競技車両は必要に応じてブレーキパッドやブレーキフルード、エア抜き用の工具、さらに足まわりのアーム類などを搭載しているが、工具やパーツが足りない場合は、道端に落ちている石や川の水、さらに工具やタイラップなど手もとにあるアイテムで代用するなど創意工夫をしながら、自走できるように対処しているのである。

 実際、全日本ラリー選手権に参戦している国内トップドライバーたちも数多くの“修羅場”を経験している。というわけで、今回はARKラリー・カムイに参戦した3名のドライバーに自身最大の“マシン修復エピソード”を語ってもらった。

「GRヤリスに乗る前はずっとランサーでラリーをやっていたんだけど、ランサーは頑丈だったからね。でも、タイロッドアームが折れたときにプラグレンチを繋ぎ合わせて、それでサービスへ戻ったことはあるかな」と語るのは、4号車「ADVANKTMSGRヤリスRally2」でJN-1クラスに参戦する奴田原文雄選手だ。

 さらに奴田原選手によれば、「あとはネジが取れて、ハンドルが取れたときは安タン(燃料タンク)のネジを抜いて代用したこともあったし、WRXでIRCのアゾレスに参戦したときはシフトレバーが折れたから、ドライバーかなんかの工具を突っ込んで無理やりシフトを動かしたこともあった。ラリーはいろんなことがあるから自分たちで対応しなくちゃいけない。メカニックに電話して、どうすればいいのか、アドバイスをもらいながら、その都度、対応してきたかな」とのことで、ラリー競技に参戦するドライバーにはメカニックとしての技術も必要となっている。


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廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

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