「全部入り」は本当に正義か? 10年目のトヨタ・ルーミーが証明したユーザーファーストな装備設定の真髄 (2/2ページ)

フレキシブルな選択肢が残されているのが人気の理由

 廉価グレードのXは、レンタカーなどのフリートユースや企業の社用車的ニーズも多いので、装備がさっぱりしているのは理解できる。しかし、Gでは標準状態でハロゲン式ヘッドランプ(オプションで明るいヘッドライトが装着可能)でもあり、それならGではオプションとなる装備が標準装着されていることも多いカスタムGが買い得となりそうだが、それでもGにフルオプション装着しても、Gのほうが買い得感は高いと筆者は感じた。

 一般的には、中間グレードで結果的にオプション装着が増えてくると、それよりひとつ上ぐらいのグレードの買い得感が高まり、そこへ誘導するかのようなラインアップとなっている。しかし、今回のルーミーを見る限りは、「Gの標準状態で装備内容に不満のある人はオプションで用意しています」という、良心的な設定だという印象を強く受ける。装備を充実させていたずらに車両価格を引き上げるよりは、「必要と思われたら選んでください」としたほうが、とくにルーミーのようなクラスではクルマの使い方が大きくわかれる傾向があるので、ユーザーにとっても親切なのかもしれない。また、高齢ドライバーも目立つクラスであるので、標準状態での装備の複雑化を避けたいとの狙いもあったのかもしれない。

 4代目日産マーチは2010年に登場して2022年に終売した。2016年には2代目ノートにe-POWER仕様が用意され、日産のコンパクトカーはノートがより販売の中心となっていったが、4代目マーチの販売は継続された。当時ディーラーへ行くと、古いクルマなので、そもそも装備内容も含めシンプルであり、高齢のお客様へ勧めやすく助かっていますという声を聞いたことを思い出した。

 オプションではなく全車標準装備でいいじゃないかという意見もあるだろう。確かに、オプション設定するだけでもコストアップにつながるので、それならオプションを減らして標準装備を増やすという考え方もある。しかし、ルーミーのようなモデルでは、生活圏内の移動手段に徹する使い方もあるので、そのような使い方ではACCはそれほどニーズはないし、使いなれた足踏み式パーキングブレーキのほうがいいという話もあるだろう。

 グレードによる使われ方の違いを装備内容に反映しているかのような動きを見ると、ルーミーが10年間、人気車としての地位を維持してきたのも当たり前といえるかもしれない。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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