この記事をまとめると
■WEC富士2026は大雨と濃霧で予選中止という波乱の幕開けとなった
■プジョーとアルピーヌのピットに潜入して見えた世界最高峰の戦いの舞台裏
■レースは残り1時間からトヨタ8号車の大胆なピット戦略による大逆転で幕を閉じた
世界中が熱狂する「WEC」が2026年も富士にやってきた!
みなさん、こんにちは! カーライフエッセイストの吉田由美です。富士スピードウェイの秋の風物詩といえば、世界耐久選手権(WEC:World Endurance Championship)。
「WECってどんなレース?」という方に、ざっくり説明すると、F1が速さの頂点を決める短距離走なら、WECは究極の速さと耐久性、そしてチームワークを競う世界最高峰のモータースポーツ。トヨタ、フェラーリ、ポルシェ、プジョー、アルピーヌ、キャデラック、アストンマーティン、ジェネシス、BMW、が火花を散らす、まさに大人のためのプレミアムなサバイバルレースです。ちなみにWECにはクラスがふたつあり、ここに挙げたのは最高峰のハイパーカークラスの参戦メーカー。もうひとつのLMGT3には、さらにレクサスやメルセデス、マクラーレン、シボレーなども参戦しています。
WEC富士2026画像はこちら
今回の2026年9月26・27日に開催されたWEC富士2026は、波乱の幕開けとなりました。
何しろ土曜日の富士は、あいにくの大雨と濃霧のため、安全を考慮して公式予選が中止になる始末。予選グリッドはフリー走行のタイムで決定することになり、各チームは戦略の練り直しを迫られることに。ちなみに私はこの日、別件の取材を終えてから、予選中にサーキットに到着する予定でした。しかし、移動中に予選中止を知り、サーキットに行くこと自体をやめようかとも思いましたが、そのほかのプログラムはそのまま行われるということで、予定どおり富士へと行きました。
そんな緊張感漂うピット裏で、大注目のプジョーチーム(Team Peugeot Total Energies)の監督に今季から就任したエマニュエル・エスノー氏にお話をうかがいました。
プジョーチーム(Team Peugeot Total Energies)の監督のエマニュエル・エスノー氏画像はこちら
伝説のプジョー「GTiヘリテージ」をオマージュした白・赤・黒の大胆な縞模様のカラーリングで独自の存在感を放つ「プジョー9×8」。富士との相性を聞いてみると……、「富士は路面がとてもスムースでフラット、長いストレートもあるので、バンプ(路面の凹凸)があまり得意ではない僕たちのマシンにとって、年間で一番ポテンシャルを発揮できるレースです」と、富士への並々ならぬ自信をのぞかせてくれました。ただし、いまのWECハイパーカークラスは、まさに戦国時代。
「他のチームの進化がすごく、トップ10がコンマ数秒にひしめく超熾烈な争い。正直、いまのトップ集団に真っ向勝負で勝つには、マシン性能だけでなく『運』と『戦略面のインスピレーション』が必要」と、リアルな胸の内も明かしてくれました。
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さらに、チームの雰囲気について尋ねると、「うちには神社にお参りするような特別な儀式はないけれど、『昨日より今日、今日より明日をよくする』。これを愚直に繰り返すだけ。僕たちは2029年まで、このWECにコミットしています」。と、今後に向けての意欲も満々でした。
そして最後に、「明日の作戦に名前をつけるなら?」と質問したところ、「Audacious(オーディシャス=大胆不敵)作戦でいきます!」とニヤリと笑ってひとこと。かっこよすぎます、監督!
その後、特別にピットを見学。93号車(ポール・ディ・レスタ/ストフェル・バンドーン/ニック・キャシュディ)と94号車(ロイック・デュバル/マルテ・ヤコブセン/テオ・プルシェール)の2台の違いはサイドミラーカバーの色。94号車は赤となっており、ピットを案内してくれた広報の女性は94号車を「彼女」と呼んでいたのが印象的でした。
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そしてピット見学といえば、2026年でWECのハイパーカーから撤退することを表明しているアルピーヌ・エンデュランス・チームも忘れてはいけません。フリー走行のタイムで決勝はフロントロー(1・2番グリッド)を獲得しましたから、さぞやピットは盛り上がっているかと思いきや、チームスタッフはそれぞれ自分の仕事を淡々とこなしていました。
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ここではアルピーヌチームの名物日本人スタッフの藤井さんが案内してくれました! ちなみにその稀有なストーリーは、2026年のWECの公式パンフレットにも掲載されています。通常、カウルをとって作業しているときの撮影は不可なのですが、藤井さんに「No」はありません。チームの許可を受け、撮影もさせていただきましたが、写真の掲載は自粛させていただきます。
そして藤井さんは、グリッド1位・2位のお祝いに、チョコレートが入ったおもちゃの金メダルを用意。これにはチームのエンジニアなども大喜び。この数時間でこれを用意するとは、さすがです!
アルピーヌチームの藤井さんが用意した金メダルのチョコ画像はこちら
それにしても、チームによってピットのレイアウトやデザインがまったく違うのでピット巡りは楽しかったです。