「軽さ」の重要性を痛感! 伝説のレーシングドライバーがホンダWR-Vに載って感じた「クルマはこれで十分」【ガンさんこと黒沢元治のDPQ:ホンダWR-V編】

※本記事は雑誌「CARトップ2024年12月号」の記事を再構成して掲載しています

1.2tという軽い車重があらゆる点で奏功している

 ホンダから登場した新たなSUV、WR-Vを評価したい。じつは以前にボク自身がヴェゼルを所有していたこともあり、同クラスに位置するWR-Vの存在は気になっていた。聞けばあえてシンプルな構成として、低価格がひとつのセールスポイントだという。

 駐車スペースで対面すると、写真などで見て想像していたものより大きく、堂々とした体躯だ。インテリアはシンプルであるが必要なものはシッカリと揃っていて、チープさは感じられず好印象。

 まずは低速で荒れた路面を流す。路面からの入力に対して、ボディ剛性はシッカリと出ていて、十分な質感が感じられる。

 ワインディング本線へと入り、アクセルを踏み込み加速する。1.5リッターNAエンジンは、十分なトルクを発生し、ストレスなく速度が乗っていく。このトルクから考えて3気筒かと思ったのだが、担当編集者から4気筒だと聞いた。エンジンの回転自体は滑らかで、回転振動も小さく質感も高い。

 もうひとつ、走り始めてすぐに感じたのが車体の軽さだ。EVはもとより、ハイブリッド車が主流となっているいま、車両重量はかなり重くなっている。ひと時代前であれば、1.5〜1.6tくらいであった車格のクルマが1.8〜2tを超えるというモデルも増えてきた。そうしたなかで今回の試乗車は1210kgという重量を実現している。軽量であることは、あらゆる動作において有利になり、実際、非常に軽快な動きを示す点は高く評価できる。

 ブレーキもいい。試乗日はあいにくの雨で、そこまでブレーキに負担がかかるという状況ではなかったが、コントロール性、熱に対する変化の小ささなど、不満は一切感じなかった。

 ここで言及しておきたいのはタイヤだ。試乗グレードは215/60R16サイズを装着。いまは見た目重視で低偏平タイヤを装着するクルマも多いのだが、やはり60偏平にはメリットも多いと痛感した。

 もちろん路面がフラッシュサーフェスなサーキットであれば低偏平でもいいのだが、アンジュレーションの多い公道で、ダイナミクス性能を重視したスポーツモデルでもなければ、コンフォート性や走りの質感の観点から、このタイヤサイズの選択は大きな意味を持つのだ。タイヤ銘柄はグッドイヤーで、横剛性、縦バネもしっかりとしており、走りの安定性に寄与している。

 一方、走りにおいて唯一気になるのが、路面からの入力に対して突き上げ感がやや荒っぽいというところだ。これはもう少しシットリとしたタイヤにするか、もしくはサスペンション側のバネ&ダンパーとの協調でも改善可能だろう。ただ、フロントのストラットはともかく、リヤのトーションビームは、より上質にすべくコンフォート寄りに設定すると横剛性が不足しがちになる。現状のWR-Vの持つ直進性や安定性を維持すると考えると、やはりタイヤで対応するのが正解であろう。

 まとめよう。電動化を否定するわけではないが、軽さというのはあらゆる慣性モーメントを小さくし、加速、減速、コーナリングとあらゆるポイントにプラスの作用をもたらす。しかもその結果として200万円前半という価格も実現できているのだ。WR-Vに乗ると、ある種クルマというのはこれがいい、これで十分、そう感じさせられる試乗だった。

※本記事は雑誌「CARトップ2024年12月号」の記事を再構成して掲載しています


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