車検に通ったのに「ブレーキでハンドルが取られる」「タイヤが片減りする」!  多くの人が知らない「アライメント調整」の大切さ (1/2ページ)

※本記事は雑誌「CARトップ2023年7月号」の記事を再構成して掲載しています

走りに大きく影響するタイヤの取り付け角度

 ホイールアライメントとは、車両に取り付けた4本のタイヤ&ホイールの並び具合のこと。高速でステアリングがブレたり、タイヤが偏摩耗したりすると、「アライメントが狂っているんじゃない?」なんて言ったりするアレである。

 英語(alignment)では「一列にすること、整列」。しかし、わかっているクルマ好きには馬の耳に念仏、ではなく釈迦に説法だが、タイヤは前輪も後輪もきれいに真っ直ぐクルマに付いているわけではない。

 たとえば、前輪は上から見たら先端がちょっと内股っぽくなっていたり、正面から見ればハの字に開いていたりする。左右はもちろん対称だ。

 タイヤの取り付けにこうした角度がつけられているのは、クルマの構造から生じる理由もあるが、いうまでもなく走るうえで機能や性能を高めることが狙いだ。

 車種にかかわらずもっとも代表的なのはトー。前述の”内股”は「トーイン」と呼ばれ、左右のタイヤがそれぞれ車両の内側へ向かって走ろうとするので、直進性が高くなる。

 “ハの字”はキャンバーがネガティブになった、俗にいうネガキャン。カーブで荷重が増えるアウト側のタイヤが接地しやすくなり、旋回性能が向上する。はるか昔は操舵力が軽くなるポジティブキャンバーが一般的だったがいまはパワステによってその必要がなくなった。

 ほかにもキャスター、スクラブ、キングピン軸などがあり、タイヤ(とくに前輪)の取り付け角は複雑。しかも、それらはひとつひとつがバラバラに作用するのではなく、すべて相互に関係している。アライメントはこうした点を踏まえ、車種に応じて最適に設定されている。

左右均等のバランスこそアライメントの大前提

 トー角やキャンバー角はつけすぎると抵抗が増えるなど問題がある。

 それでも、たとえば極端なネガティブキャンバーをつけた”鬼キャン”が普通に真っ直ぐ走るのは、左右輪のアライメントが同じだから。アライメントがメーカー設定の適正値から外れているとしても、ズレ方が左右輪で同じなら走りに違和感を覚えることはあまりない(程度にもよるが)。左右輪のバランスが大切なのだ。

 問題はどちらか一方のアライメントが狂ってしまったとき。原因はさまざまだが、よくあるのは片輪を縁石や段差で強くヒットしたとか、側溝に脱輪したというケース。事故で足まわりがダメージを受ければ当然だが、そこまでいかない場合でも、サスペンションが横方向からの衝撃や設計で想定された以上の入力を受けると、アライメントは適正な状態からズレてしまうおそれがある。

「オレはそんなヘマはしない」「クルマの丁寧な扱いには自信がある」という人もいるだろうが、それでもアライメントがまったく狂わないということはないのだ。

 距離や年数を重ねるうちに、足まわり部品の締めつけ部分の緩みや微妙な変形などが生じると、アライメントもジワジワと影響を受けるのだ。ボディとサスペンションの取り付け部分のゴムブッシュも、経年変化は免れない。ダブルウィッシュボーンやマルチリンクといった複雑な形式は、ブッシュの点数も多い。

 また、サスペンションのスプリングやダンパーなどの交換が、アライメントの狂いに繋がることも。とくに車高調などでノーマルから車高が変わる場合は注意が必要だ。


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