この記事をまとめると
■日本で外国人トラックドライバーの就労が許可された
■外国人がトラックドライバーになるには特定技能の取得が必要
■特定技能の取得に必要なスキルについて解説する
特定技能の取得は決して簡単ではない
以前から日本に働きに来る外国人は相当数いたが、これは無制限に許可をされているわけではない。どの国でもそうだが、国家にとって自国民の利益が最優先されるのは当然のこと。たとえば、外国人が安価な労働力として多数流入してしまうと、自国民の仕事が奪われかねないという懸念があるのだ。とはいえ、優秀な外国人が日本で仕事をしてくれればそれは国家の繁栄につながる。そこで、国ごとに外国人に対する在留、就業のルールを設けることになるわけだ。
運輸・物流業界では「2024年問題」が深刻化しており、トラックドライバーの担い手不足は正常な物流を妨げかねない状況にある。運輸事業各社は手を変え品を変えて人材の確保に奔走しているが、なかなか思うようにいっていないのが現状だ。そこで、これまでトラックドライバーとして採用することが認められていなかった外国人を、就業可能になるように制度の改正が行われたのである。それが「特定技能制度」だ。
外国人が日本に滞在するには「在留資格」が必要になる。たとえば、観光客の場合は観光することだけを目的に短い期間滞在するだけだから、「短期滞在」という資格が与えられる。この場合、彼らはわが国で仕事をすることができない。このように在留資格は在留者の目的に合わせて細かく決められており、仕事が許可されていてもその種類や就業条件などにもさまざまな制限が設けられている。
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在留資格のなかで一定の技能及び日本語能力基準を満たした外国人に対して、あらかじめ定められた職種の就労を認めた「特定技能」が、2019年4月から新たに導入された。2024年3月には、その特定技能にトラックドライバーが加えられたのだ。これにより、運輸事業者は外国人ドライバーの採用ができるようになったのである。
ただ、特定技能は申請すればよいというものではない。トラックドライバーは大切な荷物を運ぶという使命に加えて、人の命にかかわる車両の運行に携わることになる。ゆえに、誰でもいいというわけにはいかず、相応のスキルをもっていることが求められる。そこで、定められた日本語検定試験、特定技能1号評価試験(トラック)、第一種運転免許(運転する車両に対応したもの)を受験し、すべてに合格しなければならないのだ。
こういった手続きや試験などを、日本で就業を希望する外国人が自らすべて行うのは容易なことではない。そのために、彼らをサポートする支援機関が存在する。この機関は、国の定めた基準に沿って設立されている。同様に、彼らを採用する事業者に対しても受け入れ基準が定められており、外国人が安心して就業できるように配慮されているのだ。
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すでに多数の支援機関が活動をしており、優秀な外国人トラックドライバーの就労をサポートしている。なかには当事国の人材開発会社などと提携し、積極的に人材の発掘を行っている支援機関もあるのだ。
ただ、彼らの就労期間には上限があり、家族の帯同が認められないなど、恒久的な労働力とはいえない部分があることは否定できない。しかし、2024年問題に悩む運送業界にとって、問題解決の一助となることは間違いない。この後も、トラックドライバーとして活躍する外国人との間に、Win Winの関係が続いていくことを願いたいものだ。