この記事をまとめると
■日産は今まで数多くの名車を生み出してきた
■L型エンジンは日産の直6エンジンとして長年愛された
■チューニングベースにも人気なユニットだったが最近ではタマ数が減少している
日産旧車の代名詞「L型エンジン」とは
「日産自動車」はいわずもがな日本を代表する自動車メーカーの一角で、今年で設立から92年を迎えます。
そのため、今日に至るまでには膨大な車種が生み出されてきました。目をつむって思い返せば、まぶたの裏に多くの魅力ある車種の姿が浮かぶことでしょう。
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そんな日産の長い歴史のなかで、1960年代半ばから1980年代の半ばまでの20年に渡って多くの車種で主力エンジンとして使い続けられた名エンジンのシリーズがあるのを知っているでしょうか?
それが「L型」エンジンです。
「L型」エンジンには、4気筒のシリーズと6気筒のシリーズがありますが、ここでは6気筒にスポットを当てて紹介していきましょう。
■「L型」エンジンの概要
日産の「L型」エンジンは1965年に初登場した直列6気筒のユニットです。当時は直列6気筒ユニットは最上級の扱いとされ、高級セダンのセドリックのみに搭載されていました。通常版としては2000ccOHV方式の「J20型」が採用されましたが、その高性能版として生まれたのが、同じ2000ccでOHC方式を採用した「L20型」ユニットです。
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■「L型」エンジンには幻の“初期型”が存在する
1965年に登場した「L20型」ユニットは、当時の新方式だったOHC(オーバーヘッドカムシャフト)を採用した高性能志向のユニットです。
この「L20型」はプリンスと合併後の1969年にモデルチェンジされたため、それ以前のモデルを旧車好き界隈では“初期型”と呼んで区別しています。
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この“初期型”の「L20型」ユニットですが、それ以降のモデルではクランクの支持方法やボア間ピッチなど、根本的に設計が変更されたため、同じ型式名でつながっているものの、別物といっていい内容になっています。
この“初期型”が搭載されたのは上記のセドリックの「スペシャル6」というグレードと、スカイラインGT(GC10型)のみのようで、セドリックは5年ほど、スカイラインは1年しか搭載されなかったために数が少なく、現在では幻の存在となっています。
■「L20型」ユニットの性能は?
この「L20型」ユニットの特徴は、OHCカム駆動方式や、7ベアリングのクランクシャフト支持を採用するなど、当時まだ新しかった高性能志向の設計が込められていた点でしょう。
排気量は1998ccで、1気筒あたり333cc。 内径×行程は78.0mm×69.7mmとショートストローク設計で、高回転向きの設計だったことがうかがえます。
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モデルチェンジ後の当初のタイプでは、高性能仕様のSUツインキャブレター&ハイオクガソリン仕様で130馬力を発揮。
これは当時では最高クラスの性能でした。
しかし長い目で見ると、L型エンジンの真の強みは実用性を兼ね備えた手堅く頑丈な作りにあるといっていいと思います。あとで追加される排気量アップされたモデルも、この基本設計があってこそではないでしょうか。