この記事をまとめると
■トランプ政権は自動車への25%の追加関税を課すとしている
■「25年ルール」に適合するクルマは適用外とされている
■アメリカで人気の高い日本車は美術品の領域に入っている
北米の25年ルールにトランプ関税は影響しない?
2025年4月3日、トランプ政権が発動した自動車への25%追加関税は、日本車業界に大きな衝撃を与えている。しかし、この関税の嵐のなかで、ひとつの例外が注目を集めている。それが「25年ルール」と呼ばれるクラシックカー関税制度である。製造から25年以上経過した車両については、今回の追加関税の対象外となることとみられ、従来どおり乗用車は2.5%、トラックは25%の関税が適用される。この制度により、アメリカの富裕層が日本の旧車に熱い視線を注いでいるのは、果たして本当なのだろうか。
<トランプ関税の衝撃と25年ルールの例外措置>
トランプ米大統領による自動車への追加関税により、日本車メーカーも厳しい状況に置かれ、主要6社のうち4社が値上げ方針を表明した状況だ。ジェトロ(日本貿易振興機構)の発表によると、ホンダは2025年度通年の関税コストとして4500億円を見込んでおり、この影響により営業利益が前年度から7134億円減少して5000億円になると発表した。
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しかし、この厳しい関税制度にも例外がある。それが「25年ルール」と呼ばれる制度だ。アメリカ合衆国国土安全保障省(DHS)の税関・国境警備局(CBP)によれば、「連邦自動車安全基準に適合しない外国製自動車でも、製造から25年経過していればこの法律による規制の対象外とする」と規定されており、これが俗にいわれる「25年ルール」となる。
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「25年ルール」とは、製造から25年以上経過したクルマを、通常の安全基準の適用を受けずにアメリカ国内に輸入できる特例措置のこと。これらの車両はアメリカの自動車関税や排気ガス規制の対象外となる。アメリカでは原則的に安全基準に適合しない右ハンドル車の輸入は制限されているのだが、製造から25年が経過したクルマであれば、右ハンドル車であってもクラシックカーとして登録することが可能となり、そのまま輸入できる。
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つまり、日本車やイギリス車などもそのまま輸入することができるわけだ。2025年現在では、2000年以前に製造された車両が対象となり、これらは新たな25%関税の影響を受けることなく、従来どおりの関税率で輸入可能だ。