患者じゃなくて医者を運ぶ! 救急車に似てるけど違う「ドクターカー」の役割ってなに?

この記事をまとめると

■医師を乗せて救急現場に駆けつけるのが「ドクターカー」だ

■医療行為が可能なドクターカーが出動するほうが命を救える確率が高まる場合がある

■ドクターカーには救急車型と乗用車型の2種類がある

救急車もドクターカーも患者を救うための特別な車両

「ドクターカー」という存在を、救命救急センターを舞台としたドラマなどで見て知ったという人も多いと思います。一刻を争う現場へいち早く駆けつけ、的確な処置をして命を救う姿に胸を打たれますね。現場へ駆けつける役割としては、救急車も頼もしい存在ですが、ドクターカーと救急車はなにが違うのでしょうか?

 じつは、救急車は患者を医療機関へ運びますが、ドクターカーは患者ではなく、医師を現場に運ぶ役割を担っています。救急車にも救急救命士が同乗し、患者の状態を見て応急処置を施すことがありますが、治療の範囲は限られています。

 救急救命士は医師とは違い、医療器具を用いた気道確保や心肺停止時などの薬剤投与、輸血といった「特定行為」とされる一部の医療行為を行うことができるのです。そのため、「窒息している」「意識がない」「けいれんがおさまらない」といった重篤な状態の場合には、現場から医療機関へ運ぶより早く医療行為をすることができるドクターカーが出動するほうが、命を救える確率が高まります。

 ドクターカーには簡易的な手術までができるような医療設備を整え、医師がその場で超音波診断装置(エコー)を使った検査や、薬剤の投与といった専門的な処置ができるようになっています。

 ちなみに、119番通報をしていきなりドクターカーを呼ぶことはできません。119番通報が入った段階で、消防がドクターカーを要請するかどうかを瞬時に判断し、救急車と一緒にドクターカーが出動することもあれば、救急救命士が現場に到着してからドクターカーを呼ぶこともあります。また、同時要請で救急車とドクターカーが同時に現場に向かっていても、その途中で患者の状態がそれほど重篤ではないと判明すると、途中で引き返すこともあるそうです。

 さて、ドクターカーには救急車型と乗用車型の2種類があります。乗用車型ドクターカーは、2008年4月の道路交通法改正によって運用が認められ、導入しやすさや狭い道などでの機動力など、より緊急性の高い要請にも対応しやすいメリットがあります。近年、後ろからサイレンの音がして救急車かなと思ったら、「ちょっと違う?」と思ったことがある人もいるのではないでしょうか。それはよく見ると、ドクターカーかもしれません。車種もさまざまで、スバル・フォレスターやレクサスNX、マツダCX-5、日産エクストレイル、スズキ・エスクードなどSUVが多く見られます。

 もし、運転中にドクターカーがサイレンを鳴らして近づいてきたら、速やかに進路を譲るのは救急車など緊急車両への対応と同様。1秒でも早く、助けを求める人のもとへ向かってほしいですね。


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まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

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サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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