歴史があれば信用できる! インドネシアのモーターショーで自動車メーカーが「年表」を掲示するワケ

この記事をまとめると

■ガイキンド・インドネシア国際オートショー2025の会場では年表の展示が目立った

■インドネシア市場においてどれだけの信頼性があるかアピールする絶好の機会だった

■出てきて日が浅い中国系ブランドとの差別化を図るツールとして活用されていた

ユーザーたちに歴史あるブランドであることを誇示

 GIIAS2025(ガイキンド・インドネシア国際オートショー2025)の会場を歩いていて、中国上海汽車系のMGブースへ行くと、目に入ってきたのがMGブランドの歴史年表。

 MGとはモーリスガレージの略で、そもそもイギリスの名門ブランドであったことは、クルマ好きならご存じのことと思う。

 2005年、当時のMGローバーが経営破綻すると、MGは中国南京汽車傘下となった。しかし、2007年に南京汽車が同じく中国系の上海汽車に買収され、いまでは上海汽車系ブランドとなっている。MGは年表こそ掲示しないときでも、なぜかMGが発足した1910年ではなくSINCE1924、つまりMGが最初に量産車の生産開始をした年から起算してブランドの歴史を語ったり、ブランドの歴史の長さをアピールしたりしている。

 しかし、そんな会場を訪れるクルマ好きの間からは、「いまは英国風中国系ブランドなのだから、南京汽車傘下となった2005年、もしくは上海汽車系となった2007年から起算するべきだろ」という声もよく聞くことができた。GIIAS2025のMGブースでは、通路側とブース内商談スペースにふたつも年表が掲示されていた。

 ただ、会場を歩いていると、MGに限らず年表を掲示するブランドが目立っていた。

 BMWミニブースにも年表のようなものもあったのだが、純粋なイギリスブランド時代のクラシックミニと呼ばれるモデルからの歴史が記されていた。

 BMWブランドブースでは、インドネシア国内での動きを入れてある年表が掲示されていた。トヨタでは、2代目カローラと初代キジャンの実車展示が行われており、その展示車の近くには、インドネシアにおけるカローラ、そしてキジャンの歴史年表が置かれていた。さらにトヨタの商談ブースへ行くと、壁一面にインドネシアにおけるトヨタの歴史年表が掲示されていた。

 また、年表ではないものの、GIIAS2025会場にて最新型スバル・フォレスターがインドネシアでもデビューしたのだが、正式開幕に先立ち、メディア向けに先行公開したプレスデーには、スバルブース内に歴代フォレスターが一同に展示されていた。

 日本の自動車産業と比べればまだまだ歴史の浅いインドネシアの自動車産業だが、それでも、数十年は創成期から経っているといっていいだろう。そのなかで、年配などは自分の人生と照らし合わせて年表を見るようになってきたのかもしれない。もちろん歴史がある=信頼度高いと考えるひともいるだろうから、自分のブランドの長い歴史を誇示するのは、販売促進効果も期待できるというもの。

 あまり過去にこだわっても仕方がないのかもしれないが、BEV(バッテリー電気自動車)では中国系を中心に新興ブランドの存在が目立っている。また、中国系ブランドは本国とは異なる欧風なブランド名で市場進出することも多いので、どこの国のブランドで歴史あるものなのか確認できる年表は、筆者が思っているよりも必要なものなのかもしれない。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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