この記事をまとめると
■ホンダが新モビリティ「UNI-ONE」を法人向けに国内販売開始
■体重移動で全方位走行し人と自然に共存できる安全設計を採用
■テーマパークでの導入はすでに開始されており今後の可能性に期待がかかる
免許が不要な次世代モビリティ
Hondaは、ハンズフリーパーソナルモビリティ『UNI-ONE(ユニワン)』の事業化を決定し、日本国内の法人向けに9月24日(水)から販売を開始します。
UNI-ONEは、クルマなどで移動した先の「目的地で使うモビリティ」として開発されました。最大の特徴は、ハンドルやジョイスティックを必要とせず、免許も不要なこと。座ったまま体重を移動させるだけで全方位に動くことができ、直感的に操作できます。
これを可能にしているのが、Honda独自の全方位移動駆動機構「Honda Omni Traction Drive System」です。前進・後退用のタイヤと、左右移動用の並進タイヤを組み合わせることで、人と同じように自在な移動を実現しました。
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この開発は1989年にはじまり、当初の立ち乗りスタイルから、より多くの人が安心して使えるよう現在の着座スタイルへと進化してきました。重心の動きを利用してバランスを取りつづける「倒立振子」の原理を応用している点も特徴です。その技術的基盤には、人型ロボット「アシモ」開発で培ったバランス制御や小型集積化のノウハウが活かされています。
発表のプレゼンテーションで「アシモ」の名が出たとき、思わずうれしくなりました。幼少期に家族と訪れたホンダ青山本社で、目の前で軽やかに歩く姿を見た衝撃はいまも鮮明に残っています。まるで人間のように一歩一歩進む姿に心を奪われ、「いつか人とロボットが共に暮らす時代が来るのかもしれない」と想像し、胸を躍らせました。そしていま、あの時に思い描いた未来がUNI-ONEというかたちで実を結び、目の前に現れたことに感慨深い気もちになりました。
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人混みのなかでどう安全に走行できるか、その工夫こそUNI-ONEの注目すべき点です。障害物センサーを搭載すると、混雑した環境ではセンサーが過剰に反応して動けなくなる恐れがあります。そこでHondaはあえてセンサーを搭載せず、人と接触しても安全な設計を採用しました。人同士がすれ違ったときの「おっとっと」という自然な動きを再現することで、人の流れに溶け込み、違和感なく共存できるようにしているのです。
デザインは、車いすのような印象を与えないスタイリッシュで先進感あふれるもの。自然と「乗ってみたい」と思わせる魅力があります。人と手をつないで並んで移動できるので、体力差がある場合でも「一緒に長距離を歩く」時間を共有できるようになりました。
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なお、UNI-ONEは2025年7月に道路交通法上の「移動用小型車」として国家公安委員会の型式認定を取得済みです。さらに、転倒に至る前にシートを自動的に低くし、補助輪で着地をサポートする安全機能も搭載。安心して利用できるよう配慮されています。