ちょっと軽自動車って守りに入りすぎじゃない? かつての軽に溢れていた「アソビ心」はドコいった!! (1/2ページ)

この記事をまとめると

■ID.Buzz登場はタイプ2を想起させ懐かしさを喚起させるものだ

■筆者は幼少期に見たステップバンの個性を回想した

■現代でもスペーシアベースのような遊び心のある軽自動車を期待したい

ID.Buzzを見て思い出す個性豊かだった軽自動車

 日本でもVW(フォルクスワーゲン)がID.Buzzをデビューさせて話題となっている。正式デリバリーは来春以降となるようだが、筆者自宅最寄りのVWディーラーにもロングホイールベースの試乗車が置いてあり、冷やかし客丸出しでディーラーへ実車を見に行ってしまった。

 かつてラインアップされていたVWタイプ2をオマージュしたかのような、大型ミニバンスタイルのBEV(バッテリー電気自動車)となるID.Buzzは筆者のようなオジサン世代には懐かしく、若い世代には新鮮に映る、まさに「映える」クルマといっていいだろう。タイプ2を彷彿させるような、リヤサイドのエアベント風加飾などが気分を高揚させてくれた。

 18歳で運転免許を取ったころ、高校時代の友人がVWビートル(タイプ1)に乗っていた。その友人の実家が学習塾を経営しており、その友人が生徒の送迎用にと車内に客席を多く設置しバス仕様にしたタイプ2を購入し、それを見せにきたことがあった。興味津々な視線を送っていると、「運転してみる?」といわれたので近所のバイパスを運転させてもらうことにした。

 もともとバスマニアも自称している筆者なので、ロングストロークのシフトレバーに思わず見とれてしまった。遮音材などない鉄板むき出しの車内はリヤからダイレクトに聞こえてくる空冷水平対向エンジンの心地よい音と、記憶では「カーン、カーン」といった感じで入っていくシフトレバー、筆者としてはビートル以上に好印象をもったのを覚えている。

 そんなID.Buzzからの、タイプ2への思い出に浸っていると、1台のクルマを思い出した、それがホンダ・ステップバンである。

 ホンダ・ライフ ステップバンは1972年9月19日にデビューしている。派生モデルというか、翌1973年8月20日には、ステップバンをベースにした軽トラックであり、トラック版といえる「ライフ ピックアップ」もリリースしている。そもそも1971年にデビューした、セダンタイプ軽自動車のライフシリーズとしてステップバンはデビューしている。ライフ自体も2ドアおよび4ドアセダンのほか、ワゴンとバンもラインアップしていた。

 筆者は当時5歳だったが、東京都内晴海を会場にしていたころの東京モーターショーで初めて実車を見た時のことをいまも覚えている。まずはそのスタイルもさることながら、センターメーターを採用しており、「変わったクルマだなあ」と思ったことをいまもはっきりと覚えている。

 当時の軽商用バンといえば、ダイハツ・ハイゼットやスズキ・キャリイはエンジンを前席下に置き、サンバーはエンジンをリヤに置くキャブオーバーバンだったのに対して、ステップバンはボンネットをもち、エンジンをボンネット内に載せており(前輪駆動というのも珍しかった)、ホンダらしいユニークな軽商用車であった。当時のリリースにも、「乗降頻度の多い集配業務からレジャーまで」としており、単なる商用以外でも多用途性の高いことを強調していた。

 1974年終売と短命に終わったのだが、その後も商用というよりはそれこそレジャービークルとして愛用するひとが目立っていた。

 ホンダはほかにも、あくまで警備用、建設現場用、工場内運搬用、電気工事用、農山林管理用、牧場用などとして1970年にオフロードスタイルの軽自動車「バモス・ホンダ」をデビューさせており、本来の用途のほかレジャービークルとしてのニーズ、さらには特撮ものとなる「ウルトラマンタロウ」の劇中で「ラピッドパンダ」として使われるなどもしていた。ステップバンやバモス・ホンダはあくまで商用車とはなるものの、当時のアイディア溢れるホンダの開発現場を象徴するような存在のモデルだと筆者は考えている。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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