「まったく別のクルマに見せたかった」スズキ・スペーシアギアの開発エンジニアに直撃インタビュー (1/2ページ)

参考出品のカスタマイズ仕様がギア誕生きっかけのひとつに

 2017年12月にフルモデルチェンジしたばかりのスズキの背高軽ワゴン「スペーシア」に、タフでアクティブなSUVデザインを採用した「ギア」が仲間入りし、12月20日に発売された。その狙いや誕生の経緯について、チーフエンジニアの鈴木猛介(すずき・たけゆき)さんと、商品企画を担当した小杉好香(こすぎ・よしか)さんに聞いた。

──今回追加された「ギア」は、2代目スペーシアの開発を始めたころから同時並行で進めていたのでしょうか?

鈴木:本当に最初の段階ではありませんでしたが、標準仕様とカスタムを作っている中で、「こういうのも面白いよね」と、「ギア」のアイデアが出てきました。しかし、同時開発というわけにはいきませんでしたので、1年遅れとなりました。

 2018年1月の東京オートサロンに「トールキャンパー」を参考出品しましたが、これに向けて小杉が準備していたものが、今回「ギア」という商品として具体的な形になったのです。

──「ギア」の発案は小杉さんがされたのでしょうか?

鈴木:本当に細かな所は全部小杉がまとめています。標準仕様とカスタム以外の新しいものを生み出そうというアイデア出しは社内で広く行なっていたのですが、その中から「ギア」のようなものが選ばれ、その後形を作っていっています。

小杉:「トールキャンパー」はお客さまからそのSUVテイストに対する評価が高かったので、そこで商品化への手応えを感じました。ですので今回、純正アクセサリーでも「トールキャンパー」を模したものを設定しています。

──ベースとしたのは標準仕様ですか?

鈴木:そうですね。スチールボディの部分はほとんど同じで、バンパーやライトなど樹脂部品のところをデザイン変更することで、変化感を出しています。

──ものすごく雰囲気が違いますよね。

鈴木:もうこれは頑張りました、「全然違うクルマに見えるようにしよう」と。しかし、1年以内に出すという制約条件がありましたので、本当にまったく違うクルマにはできません。その中でできることを、知恵を絞って生み出したのが「ギア」です。

──フロントフェンダーやボンネットは変更していないのですか?

鈴木:はい。この見切り線は変更せずに、それ以外の箇所を変更することで、標準仕様と「ギア」とを差別化しています。

──ランプ類は専用設計ですか?

鈴木:中身はジムニーのユニットですが、そのままではスペーシアに装着できませんので、外側は変更しています。「ギア」のキャラクター的に丸目がポイントになったので、それに適したものを探す中で、ジムニーのものを使おうということになりました。

──このデザインなら、そうと言われなければジムニーと同じとは気付きませんね。

鈴木:はい、「ギア」独自に見えるように作りました。

──前後バンパーやサイドガーニッシュなど、ガンメタリック塗装されている部位は、チッピングやスクラッチに強い塗装になっているのでしょうか?

鈴木:通常の塗装ですね。特別な素材というわけでもありません。悪路を走破するクルマという方向には振っていませんので。それはハスラーが得意とするところで、このクルマでは室内空間の広さやスライドドアを持つことに重きを置いています。

──アルミホイールを敢えてスチールホイール風にデザインしたのはなぜでしょうか?

鈴木:ハスラーでデザインスチールホイールを採用していますが、それをみんなが格好良いと思っているんですね。「ギア」に対しては上下をガンメタリックで挟むというイメージをデザイナーが持っていて、今回アルミホイールを選定する上ではそのイメージに対してしっくり来るもの、ということでこのデザインに決まりました。

──となると、なぜスチールホイールにしなかったのかという率直な疑問が湧いてきますが……。

鈴木:スチールホイールでは見た目に厚みを出せないので、貧弱に見せずどっしりした雰囲気を出したいという狙いから、アルミホイールを採用しました。


遠藤正賢 ENDO MASAKATSU

自動車・業界ジャーナリスト/編集

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ホンダS2000(2003年式)
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