この記事をまとめると
■道路上の落下物発見時は速度を落としつつ周囲を確認し回避を判断する冷静さが必要
■避けられない場合は衝突に備えて減速し、安全を確保したうえで警察や「#9910」へ通報
■日頃から速度と車間距離に余裕をもつことで落下物や関連事故への備えが可能になる
マージンを十分にとった運転が肝要
道路上に落下物を発見したとき、どうすればいいか?
対処法をひとことでいうのは難しい。理由は、落ちている物や場所によるからだ。基本的には、万一の衝突に備えて速度を落とすのが第一。そして、速度を落としながら落ちている物と場所を確認し、ハンドルを操作して避けられるかどうか、瞬時に決断しなければならない。
進路変更を伴う回避操作をする際は、隣の車線を走るほかのクルマ、あるいは後ろから追い越しをかけているクルマががいるかどうかなど、他車への配慮と判断も必要だ。
他車を巻き込んでの接触事故となれば、さらに後続との関連を含めた大事故に至る懸念もある。したがって、進路変更を伴う回避行動には慎重さが求められる。
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避けきれないと判断したら、十分に速度を落として衝突に備えるしかない。そして、ハンドルをしっかり握り、クルマが制御を失うことを防ぐ。そのうえで、徐行して路肩などへ避難する。クルマの様子が気になるだろうが、車道側へ出ての確認は後続車を危険にさらす可能性があり、自らも他車との接触による負傷の危険が伴う。
したがって、まずは警察へ通報し、あわせて道路管理を行っている管轄へ知らせるなどできればなおいい。「#9910」は道路緊急ダイヤルといって、全国共通で最寄りの道路管理者へ直接通報できる短縮番号だ。
落下物には、さまざまなものがある。もっとも多いとされるのは、プラスチック/布/ビニールなどだ。これらは、万一踏んでしまっても、クルマが損傷を受ける可能性はそれほど高くないかもしれない。しかし、その上を通過した際に、床下に引っかかって排気管にからみついたり、通過する直前に風で舞い上がり、ラジエターグリルをふさいだりする懸念がある。可能であれば避けるのが得策だ。
次に多い落下物は、自動車部品やタイヤ、木材、動物の死骸などの事例が確認されている。これらは接触によってクルマの走行制御を失わせたり損傷させたりと、より大きな損害につながる懸念がある。
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では、落下物との衝突を未然に防ぐ方法はないのだろうか。
高速道路などでは、電光掲示板によってあらかじめ落下物の情報が明示されることがある。そうした情報の確認を怠らず、現場付近に近づいたら速度をやや落とし、前を走るクルマとの車間距離を広げておくと状況判断しやすくなる。ことに前を走るクルマがバスやトラックなど大型車の場合はなおさら視界が遮られるので、余裕をもつことが大切だ。
そのうえで、落下物の処理を道路公団などの職員が路上で対処している可能性も考慮し、単に落下物だけでなく、関係する管理車両や交通管理の職員の安全を確保することにも備えておくべきだ。
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そうしたことを可能にするのは、ゆとりある速度と、ゆとりある車間距離の保持といえる。また、ドライブレコーダー装着車は、落下物の様子を記録にとどめることができ、その後の処置や保険の適用などに役立つ場合がある。
速度や車間距離への意識は、単に日常的な交通事故を未然に防ぐだけでなく、落下物への対処にもかかわる。クルマを運転する際、常に忘れてならない事柄だ。