実車のデコトラよりディープな世界ってマジか! デコトラのプラモデル「デコプラ」がマニアを捕らえて離さないワケ

この記事をまとめると

■「デコトラ」は日本独自の改造車文化として世界的に知られるようになった

■40〜50代の大人を中心にデコトラのプラモデルが盛り上がりをみせている

■専門店がないデコプラは作り手のセンスや技術が要求されるからこそマニアックで面白い

世界規模で認知されつつある日本独自の文化「デコトラ」

 日本独自の文化として知られる、デコトラ。いわゆる改造車のひとつにすぎないが、自動車に興味がない人であってもその存在は知られている。映画やドラマ、そしてCMにまで起用されてきたデコトラは、2020年に開催された東京パラリンピックの開会式にも起用され、2025年の大阪・関西万博でも期間限定で展示されるほど、日本が世界に誇る独自の文化として根付いている。

 デコトラが大ブームとなったのは、1975年から1979年にかけて公開された映画「トラック野郎」シリーズの影響が大きい。そして現在に至るまで、50年以上にも渡って多くの人たちに愛され続けているのだ。

 この記事を執筆している筆者も、小学生のころにデコトラに魅せられたひとり。中学生になると自転車をデコトラのように飾るデコチャリを製作し、デコトラのプラモデルを作るようになった。普通免許を取得するとデコトラの世界へと足を踏み入れ、やがて大型トラックで全国各地を旅するようになった。そして、デコトラ専門誌の創刊メンバーとして召集され、最終的には2代目編集長を務めた。

 そんな文字どおりデコトラ一色の人生を歩んできたのだが、プラモデルの世界も捨てたものではない。いや、捉えようによっては実車よりも奥が深く、楽しいかもしれない。プラモデルといえば玩具のカテゴリーに入るため、興味がない人からすれば子どもの遊びだと思われてしまうことだろう。しかし、40〜50代の大人たちを中心に、デコプラの世界は大きな盛り上がりを見せているのである。

 デコプラの楽しみ方は人それぞれ。説明書どおりに組み立てる人もいれば、プラ板や角材などを駆使して部品を自作し、オリジナルの作品を築き上げる人もいる。そして、実在した過去の名車や現存するデコトラを32分の1スケールのプラモデルで再現する人も。また、あえてノーマル車を製作してみたり、錆やダメージなどをアレンジしたリアル感満点の作品を好む人も存在する。

 そんな多種多様の楽しみ方が存在するデコプラの世界には流行というものがないため、デコトラマニアの心をひどく刺激するのだ。

 実車の世界では飾りを製作してくれる専門ショップが存在するため、お金さえ出せば知識やセンスがなくてもすごいデコトラを手にすることができる。しかし、デコプラの世界では作り手のセンスや技術力が要求されるため、文化を荒らすようなニワカと呼ばれる人物は気軽に参入できない。だからこそ面白く、マニアックな世界なのである。


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