ドライバー2名の年齢を足すとなんと113歳!? まだまだ若手に負けない大ベテランコンビ「96号車 K-tunes Racing」【SUPER GT 2025 GT300クラス オールチームラインアップ】

ベテランによるGT界きっての名コンビ

 岡山トヨペットを母体とするK-tunes Racingは、2018年からSUPER GTに参戦。車両は一貫して、レクサスRC F GT3を使い続けている。

まだまだ若手に負けない大ベテランコンビ「96号車 K-tunes Racing」【SUPER GT 2025 GT300クラス オールチームラインアップ】

 2019年には新田守男と阪口晴南のコンビでランキング2位を獲得するなど、参戦当初から戦闘力の高さを見せてきたK-tunes Racing。2022年には、新田のパートナーとして盟友・高木真一が加入した。ARTAやaprなどで数多くの勝利を記録してきたSUPER GTを代表する名コンビの復活は、大きな話題を呼んだ。

 現在は新田が58歳、高木が55歳と、ふたり合わせて113歳という大ベテランコンビだが、いまだ随所で光る速さを見せている。2023年には第6戦SUGOでポールポジションを獲得し、昨年のオートポリス戦では3位表彰台も獲得した。今季もチームの地元となる岡山でのレースで3位表彰台を記録している。

 高木は新田とコンビを一時解消して以降はARTAで長くキャリアを積んでいた。2021年オフにはARTAの鈴木亜久里監督から、ステアリングを置いてチームで若手の指導役にまわることを打診されていたが、高木は現役続行への意欲が強く、「もう一度新田さんと組みたい」との思いで兄と慕う先輩のもとへ合流したのだ。

 そんなふたりの絆は文字通り家族の域に達している。高木はこう語る。

「本当に兄弟みたいな感じで、言葉を交わさずともわかり合える関係です。一緒にいた時間が長いからか、最近はお互い(見た目が)似てきちゃって、ファンの人もどっちがどっちかわからなくなってきています(笑)。僕も最近、『新田さんサイン下さい』と言われることもありますよ」

 一方で“兄”の新田は、結成当初からチームを支える屋台骨であり、プレイングマネージャー的な役割も担っている。レースウィークで監督を務めるのは影山正彦氏だが、高木曰く「サーキットに来るまでのことはほとんど新田さんが段取りしている」という。

 ちなみにインタビューに答えてくれた高木は無類の釣り好きでも知られ、チームスタッフを連れてよく釣りに行くのだと言うが、最近になって新しく始めたことなどはあるのかと問うと、しばらく悩んで「左足ブレーキ」と答えた。理由は「右足だけだと疲れるから」ということで、たまに右足ブレーキと併用しているとのことだ。

 変速時にクラッチペダルを使わなくなったいま、右足ブレーキは珍しいのではないかと思いきや、かつてGT300のARTAでコンビを組んでいた福住仁嶺も右足ブレーキでNSX GT3を操っていたという。その理由について高木は、こう説明してくれた。

「GTはふたりで乗るレースなので、シートがグラグラして身体を上手くホールドできないときもあります。そうなると左足ブレーキの場合、精度が悪くなってしまうんです。だからフットレストに置いた左足で、むっちゃ踏ん張ってます! シートに自分の身体を押さえつけながら、右足ブレーキの精度を高めている感じですね」

 意外な豆知識を披露してくれた高木。レース中、外から見る我々は彼の足元を見ることはできないが、ロングスティントのときなどは、ブレーキする足を入れ替えるなどしてコックピットの内部で工夫を凝らしているのだ。これぞベテランの処世術か?

まだまだ若手に負けない大ベテランコンビ「96号車 K-tunes Racing」【SUPER GT 2025 GT300クラス オールチームラインアップ】


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