ファミリーカーをワークスがチューンして発売って本気かよ! かつてオーテックが作った狂気のクルマ「パフォーマンススペック&ハイパフォーマンススペック」 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■オーテックは日産の特別仕様車や福祉車両を手がけている

■過去に「パフォーマンススペック/ハイパフォーマンススペック」というグレードがあった

■ファミリーカーをベースにオーテックがエンジンや足まわりをセッティングしている

前代未聞のワークスチューンのファミリーカーたち

 いままで世に放たれたクルマたちはもちろん、現在販売されているクルマたちには、メーカーが余分に手を入れて、ベース車のパフォーマンスをより引き上げるという、風変わりな特別仕様車が設定されていることがある。

 そんなスペシャルモデルを手がける職人集団が、日産が抱える少量多品目な特装車を専門に扱う部隊であった、オーテックジャパン(以下:オーテック)である。現在は経営方針の変更から、NISMOシリーズのコンプリートカーやオーテックシリーズ、福祉車両などの特装車をまとめて手がけるNMC(日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社)という組織になっている。

 このオーテックジャパン、歴史が非常に長く、スカイラインの父でお馴染み、櫻井眞一郎氏を初代社長に迎え、1986年に設立。その後、ありとあらゆる特別仕様車や限定車、特装車を手がけ、2022年3月まではオーテックジャパンとして、 2022年4月1日に前述のNMCという組織となった。

 さて、そんなオーテックのクルマたちの強みはいくつもあるが、最大の強みはやはり「新車保証がついているカスタムカーをディーラーで買える」ことだろう。しかもその多くが、「ベース車との差額がたったこれだけ!?」といった出血大サービスな内容で仕上げられていることだ。メーカーの生産ラインではできないニッチなことを、オーテックが担っている。

 筆者はかつて、3代目マーチ(K12型)に設定されていた、マーチ12SRというクルマに数年乗っていたが、これはマーチをベースにしつつ、エンジンの排気量はそのままに専用カムやピストン、バルブスプリング、ECU、エキゾースト、ボディ補強にスポイラーと、ほぼフルチューン状態で市販されていたモデル。「ノーマルのマーチで同じことをしたらいくらかかるんだ!?」みたいな内容のクルマを、平然とカタログモデルとして売ってしまうのがオーテックなのだ。そして、メーカーレベルで仕上げているので非常に高いクオリティを維持。いまでもまた乗りたいと思うほど、乗ってて非常に楽しかった思い出がある。

 そんなクルマを何台も世に送り出しているだけあって、社内にいる人たちもクルマが好きすぎる職人だらけ。そういった人がいないと生まれてこない異質なクルマが、オーテックのラインアップにはゴロゴロあるのだ。

 そんなオーテックの職人たちが手がけたクルマたちのなかで、今回紹介するのが「パフォーマンススペック/ハイパフォーマンススペック」という、あまり知られていない、これまたヤバいクルマたち。「知っているわそんなの!」という好き者はまわれ右で。

 さて、この「パフォーマンススペック/ハイパフォーマンススペック」というグレード、名前からしてもうスゴそうだが、設定されていたクルマが普通ではない。というのも、ターゲットがスポーツカーではなく、なんとファミリーカーなのだ。ラインアップは「エルグランド(2代目・3代目)」、「セレナ(3代目)」、「ノート(初代)」、そして「キューブ(3代目)」である。ただし、ノーマルの見た目ではさすがに浮くと思ったのか、エアロとメッキパーツで武装した人気モデル、ライダーシリーズをベースにしている。

 エルグランドに関しては、心臓部が3.5リッターV6エンジンということもあり、パフォーマンスを求めるのも少しは理解できるが(FRだし……)、そのほかのクルマはパフォーマンス云々を語るクルマではなく、日常生活の相棒となるモデルたちだ。オーテックは何を思ったかこれらに目をつけて、魔改造してしまったのだ。しかもカタログモデルに設定していた。

 とはいえ、なにがどう「パフォーマンススペック/ハイパフォーマンススペック」なのか。内容を見ていこう。

 まずフラッグシップであったエルグランドを例に挙げると、心の底から「なにやってんの?」といわずにはいられない中身で構成されている。心臓部のこのV6エンジンだが、まずエンジンにポート研磨を実施し、プラグはイリジウムに。それを専用コンピュータで制御するといった内容になっている。

 そしてミッションはファイナルを変更し、ATの制御も変更(どちらも2WDモデルのみに実施)。そしてエキゾーストは低排圧のものを導入し、レスポンスを向上。発進や加速、常用回転域(3200回転)での使い勝手を向上したセッティングとしている。

 ボディにはタワーバーをはじめ、各所に補強を入れて剛性アップを図っているほか、いまでは広く浸透したヤマハ製パフォーマンスダンパーをインストールし、乗り心地やステアリングフィールも向上させている。足まわりももちろん専用品だ。

 なお、エンジンチューニングは「ハイパフォーマンススペック」のみとなっている。「パフォーマンススペック/ハイパフォーマンススペック」の名前の前では、「ちょっとエアロや専用パーツをつけてそれっぽくしました」なんて、生半可なカスタムで終わらせないのがオーテック流だ。クルマのキャラクターを考えたらやりすぎな気もするが……。

 ちなみにエルグランドに関しては3代目にも「ハイパフォーマンススペック」が設定されており、ベース車から20馬力アップの300馬力級のエンジンが積まれていた。


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WEB CARTOP 井上悠大 INOUE YUTAI

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