クルマの性能を表す「馬力」! クルマ好きでも意外と知らない「そもそも馬力とは?」

この記事をまとめると

■クルマと馬は昔から深い関係にある

■蒸気機関で有名なジェームズ・ワットがエンジン出力を「馬力」と定めた

■イギリスやアメリカは「HP」を使いフランスや日本は「PS」を使う傾向にある

なんでエンジンパワーは馬力って表現される

 今年、2026年はウマ年(午年)。「人馬一体」といったフレーズがあったり、「セダン」は運転手と乗客の仕切りがないタイプの馬車だったり、「キャブ (=タクシー)」が、馬車の一種「カブリオレ」の略語だったり、「バン」、「ワゴン」の語源が荷物運搬用の馬車「キャラバン」、「ワゴン」だったり、「コーチビルダー(=伊語のカロッツェリア)」の「コーチ」が「馬車」だったり、クルマと馬、馬車との関係は昔から深い。

 そんななか、馬とクルマの関わりで一番身近なのが、エンジン出力の単位「馬力」だろう。この「馬力」の概念を考えたのは、蒸気機関で有名なジェームズ・ワットだ。彼は蒸気機関の性能を比較するための単位として、「馬力」を考案した。

 馬力とは、炭鉱の排水作業に使われる馬の動力が基準で、75㎏のものを1秒間に1mの割合で引き上げるのに必要な動力を、1馬力と定めた。つまり、「馬力」は時間単位で行われる仕事量の単位のこと。クルマのエンジンの場合、○○馬力/XXXXrpmと表記されているが、「rpm」とは1分間あたりの回転数のこと。前述のとおり、時間単位で行われる仕事量の単位が馬力なので、カタログ値の馬力は、1分間当たりの総出力トルクとイコールになる。

 トルクは1気筒あたりの排気量に比例する。したがって、1気筒あたりの排気量が同じなら、多気筒化することで、1分間あたりの爆発回数が増えるので、1分間の合計トルク=馬力も大きくなる。これがマルチシリンダー化におけるひとつのメリット。そして1分間の爆発回数が増えれば馬力も増やせるので、高回転化も馬力アップに直結する。

 さて、その「馬力」の単位だが、日本語だとそのまま「馬力」。英語だと「Horse Power」の略で「HP(英馬力)」。そして一番メジャーな「PS」は仏馬力で「Pferdestärke(ドイツ語)」の略。1馬力は「75kgの物体を毎秒1m動かす力」という点では変わらないが、イギリスやアメリカは、長さの単位の関係で、ヤード・ポンド法に基づく英馬力=HPを使用する。フランスはメートル法発祥の地なので、メートル法の「PS」。日本もメートル法がメジャーなので「PS」が主流。ちなみに細かくいうと、1PS=約0.986HPなので、PSとHPは若干数値が異なる。定義でいえば、1PS=75kgf×1m÷1s=75 kgf·m/sだ。

 これだけでもややこしいのに、1999年以降、国際単位系(SI)の「kW」の使用が義務付けられ、カタログ値には「kW」と馴染みのある「PS」が併記されているのはご存じのとおり。「kW」の「W」はワットと読み、上掲のジェームズ・ワットにちなんだ単位だ。1秒間あたりに消費されるエネルギーの大きさを表し、定義は「1W=1J(ジュール)/秒」となる。そして、1PS=0.7355kW(1kW=1000W)1kW=1.35962PSとなる。近似値でよければ、kWに1.36をかけるのが一般的だ。

「もう日本国内だけでも『馬力』表記でいいのでは?」。そう思う人が大半でもおかしくはない。


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藤田竜太 FUJITA RYUTA

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