この記事をまとめると
■パガーニがブラジルの航空イベント「カタリナ・アビエーション・ショー」に参加した
■プライベートジェット向けのビスポーク内装「インフィニート」などの実績を披露した
■パガーニという「走る芸術」はいまや「空飛ぶ芸術」の領域に到達している
パガーニが航空イベントに参加したワケ
パガーニといえば、クルマを芸術品と呼べる存在にまで昇華させた、億超えハイパーカービジネスの先駆者であり、世界最高峰のハイパーカーメーカーとして知られている。そんなパガーニが、ブラジル・サンパウロ州で開催された、エグゼクティブ航空ビジネスの場として注目を集める「カタリナ・アビエーション・ショー」に参加した。
「ハイパーカーメーカーがなぜ航空イベントに?」と思うかもしれないが、同社の顧客のほとんどはプライベートジェットなどを所有する超富裕層。そんな大富豪たちにパガーニのハイパーカーをアピールするには「カタリナ・アビエーション・ショー」はもってこいの場であり、実際、パガーニはサーキット専用車であるウアイラRを展示している。
パガーニ・ウアイラRのフロントスタイリング画像はこちら
しかし、今回のパガーニの目玉はウアイラRだけではない。「パガーニ・アルテ」としてキャビンデザイン「インフィニート」をはじめとする航空内装の実績を披露したのだ。じつはパガーニ、その活躍の場はクルマという枠をとうに超えており、プライベートジェットの内装まで手がけるブランドへと進化しているのだ。
今回、キャビンデザイン「インフィニート」を紹介したパガーニ・アルテとは、パガーニ・アウトモビリのライフスタイル部門であり、その使命はオラチオ・パガーニの設計思想と美学を、自動車以外の領域へと展開すること。専門のスペシャルプロジェクトチームが、ヘリコプターやプライベートジェットなどのビスポークインテリアを手がけている。いわば「クライアントの夢を、パガーニの技術と美で形にする工房」といえる存在というわけだ。
「パガーニ・アルテ」のキャビンデザイン「インフィニート」画像はこちら
そんなパガーニ・アルテの航空分野における代表作が、エアバスのビジネスジェット「ACJ319neo」向けキャビンデザインの「インフィニート」だ。このキャビン最大の特徴は、天井全面に設けられた「スカイ・シーリング」で、機体上空のリアルタイム映像を映し出すことで、まるで天井が透明になったかのように空や星空を映し出す。窓から離れたシートにいても、頭上に空を感じられるという、極めて革新的な演出である。
キャビン内には自然界から着想を得た曲線的なデザインが採用され、ラウンジとカンファレンスエリアを隔てるパーティションは、ボタンひとつで透明・不透明を切り替えられる仕様となっている。使われている素材もハイパーカーそのもので、レザーのカーペット、木材のフロア、カーボンファイバーの家具やウォールフレーム、そして金属の彫刻的なパーツが随所に配置されている。
「パガーニ・アルテ」のキャビンデザイン「インフィニート」画像はこちら
この「インフィニート」で民間航空機インテリア用途として初導入されたのが「カーボチタニウム」という素材だ。パガーニが独自開発したカーボンファイバーとチタニウムを組み合わせた複合素材で、ハイパーカーのシャシーに使われるものと同じ素材が、ここでは客室のインテリアに応用されている。オラチオ・パガーニ自身は「芸術と科学はともに手をつないで歩ける──それがパガーニの哲学だ」と語っているとおり、このキャビンも彼が敬愛するレオナルド・ダ・ヴィンチが提唱した芸術と科学の融合という理念に基づいている。
エアバスとの仕事に加え、パガーニ・アルテはガルフストリームG650ERのビスポーク内装も手がけており、カタリナ・アビエーション・ショーではこの実績も披露された。ガルフストリームG650ERは最大航続距離が約1万3900kmに及ぶビジネスジェットで、乗客10名が快適に過ごせる広大なキャビンをもつ。その空間をパガーニが仕立てるとなれば、乗り込んだ瞬間からハイパーカーと同じ世界観が広がることになるのは想像に難くない。
パガーニ・アルテのガルフストリームG650ERビスポーク内装画像はこちら
近年、ハイパーカーメーカー各社は「移動体験」の価値向上に力を入れている。ロールス・ロイスやベントレーが「走るラウンジ」を追求しているのも、その流れの一環だ。しかしパガーニは、そこからさらに一歩先へと踏み込んだ。
「移動そのものを芸術化する」、それがパガーニの提案する世界なのである。
「走る芸術」を生み出してきたパガーニは、いまや「空飛ぶ芸術」にまでその美学を広げている。クルマの枠を超えたパガーニの哲学は、いま確実に空の上へと羽ばたいているのだ。