この記事をまとめると
■バス業界では運転士不足を背景に外国人運転士の受け入れが進んでいる
■海外でもとくに若手運転士は日本の高いサービス水準にも対応できる可能性がある
■人手不足の解消だけでなく乗客によるカスハラ抑制にも一定の効果が期待される
外国人運転士は人手不足のバス業界で救世主となるか
慢性的な働き手不足の続いているバス業界では、一般路線バスの運転士での外国人技能実習性雇用が進んでいることが話題となっている。
外国人運転士の雇用についてはさまざまな面で不安視する声もある。ただ筆者が見てきた国々に限っていえば、運転士はおしなべて日本よりはるかに若いひとが多く、そして運転についても目立って日本人運転士と比べて問題があるようにも見えない。
確かに過去には海外の都市へ行けば路線バスのまさに傍若無人ぶりのような運転が目についた。勤務シフトに基づいた勤務時間に対して報酬が支払われるのではなく、「何回担当路線を往復したか」という、いわば歩合制のような給与体系をとる地域も多かったことが、バスはタクシーより運転マナーが悪いというイメージにつながっていたのかもしれない。
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韓国の首都ソウルではかつて、「タクシーよりバスのほうが危険」といわれていた。筆者も扉も閉めずに暴走しながら営業運行している路線バスを見かけた記憶がある。タクシーもタクシーで武闘派運転士ぞろいであり、マナーがよいとされる“模範タクシー”に乗ってもその差を感じることはなかったが、あるとき一般タクシーに乗ると当時景気が悪いこともあり、日本語ぺラパラの元エリートサラリーマンの運転士だったので、模範タクシーよりも快適に乗車ができたこともある。全体的に武闘派運転士が目立つものの、運転士個々でかなり様子も異なっていた。
新型コロナウイルス感染拡大が収まると事態は一変していた。たまたまなのかもしれないが、乗ったタクシーの運転士はいずれも親切であり、路線バスも暴走しておらず、運転士の対応も穏やかなものであった。路線バスの変化についてはBEVバスの導入と関係があるように筆者は考えている。
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多くの海外の都市ではBEVバス導入に際して業界の再編を行っている。多くは地元自治体などが絡む公営もしくは準公営化などとしてBEVバスの導入を進めている。BEVバス導入にはやはり多額の初期投資が必要となるし、利益最優先で考えるとなかなか導入が進まない。路線バス運行自体が一部の既得権益となっていた地域もあり、BEVバス導入など路線バスの近代化とともにそのような既得権益から脱することも念頭に路線バスの改革を行ったといった話も聞いている。
つまり、海外といってもすでに長い経験をもつベテラン運転士では多少疑問も残るが、若手運転士については運転技能やモラルについては運行環境の変化もありそれほど心配する必要はないのではないだろうか。日本のバス運行サービスのレベルの高さは世界共通認識となり、路線バス運行のお手本は日本とされているので、運転士のモラルや技能も当然ジャパン・クオリティの実現をめざしているのである。
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ましてや各国の経験者を雇用しようというものでもなく、日本で路線バス運転が可能となるような大型二種免許取得をはじめとして、雇用する事業者が手とり足とり必要なスキルを身につけさせるのだから、あまり心配するのもどうかと考えている。