この記事をまとめると
■2003年にポルシェは2台の周年記念モデルを発表した
■うち1台は30年の時を経て「RS」の名称を復活させた911 GT3 RSだ
■現在まで続く「GT3 RS」の出発点となる歴史的モデルとなった
30年の時を経て復活した「RS伝説」の第2章のはじまり
2003年は、ポルシェが現在にまで続く911シリーズのファーストモデルを「901」の名で世界初公開してからちょうど40年というアニバーサリーイヤーだった。ポルシェはこの年、それを祝するために901が発表された舞台と同じIAA(フランクフルトショー)で、「911カレラ40thアニバーサリー」を発表した。

911カレラ40thアニバーサリーは、IAAの約半年前にジュネーブショーで衝撃のデビューを飾った「カレラGT」の専用ボディカラーだったシルバーメタリックを採用したほか、ポリッシュメッキのアルミニウムホイールを装着。搭載される3596ccの水平対向6気筒DOHCエンジンも25馬力強化されるなど、魅力的な特別仕様が施されており、911(901)の生誕年に合わせた1963台の限定生産。ポルシェファンの間で大きな話題を呼ぶことになった。
だがポルシェは、この911カレラ40thアニバーサリーのほかにも、さらに驚きのモデルをこの年のIAAに用意していた。じつは2003年は911が誕生して40周年であると同時に、あの「911カレラRS 2.7」、いわゆる「ナナサンカレラ」が登場してから、30周年にあたる年でもあったのだ。

RS、すなわちレン・シュポルト(レーシング・スポーツ)の名を掲げ、モータースポーツ参戦のために当時のグループ4規定に沿って500台を限定生産する計画だった911カレラRS 2.7が、その圧倒的な人気を背景にツーリングやライトウエイトなど、すべての仕様をトータルして1580台も生産されたことは、ポルシェの歴史に詳しい人には周知の事実であるはず。
そのRSの称号を今度は30年の時を経て、996型911の高性能版であると同時に、ホモロゲーションモデルとしての役割も果たしていた「911 GT3」、正確には2004年モデルでビッグマイナーチェンジを受けてセカンドジェネレーションの996.2型へと進化していた911 GT3をベースに与えてみせたのだ。

「911 GT3 RS」とネーミングされたそのモデルは、もちろんスタンダードな911 GT3よりもさらにサーキット志向にフォーカスしたものだった。そのためにポルシェがまず積極的に取り組んだのは軽量化で、フロントフードやダウンフォースを増加させるためにさらに大型化されたリヤウイングはカーボンファイバー製。リヤウインドウもポリカーボネイト製とされた。

キャビンもさらに簡素化される一方で、レーシングバケットシートやロールケージを装備。また、ブレーキは996.2型の911GT3と同様に、フロント6ピストン、リヤ4ピストンのキャリパーにスチールディスクというセットが標準とされたが、オプションではPCCB(ポルシェセラミックコンポジットブレーキ)の選択も可能とされていた。

ちなみに2003年のIAAでポルシェが発表した、911 GT3 RSの標準モデルのウエイトは車両総重量で1360kg。これは911 GT3比で約50kgのダイエットに相当する数字であると説明されていた。
リヤに搭載されるエンジンは、吸気と排気のポート形状に改良を加えるなど、さらに独自のチューニングが施された3600ccの水平対向6気筒DOHCだったが、最高出力の381馬力は911 GT3のスペックから変化はなかった。組み合わせられるミッションは6速MT。ボディのロワサイドを前後に貫くストライプや、そのなかに描かれる「GT3 RS」のロゴ、カラードホイールのデザインなど、前で紹介した911カレラ RS 2.7を彷彿させるマニアックなフィニッシュがエクステリアで施されていたのもうれしいところだ。

その軽量性を最大限に発揮し、0-100km/h加速では4.3秒、また最高速では306km/hを達成。そしてニュルブルクリンクのノルドシュライフェを7分43秒でラップした、996.2世代の911 GT3 RS。生産は2003年から2005年にかけて行われ、またその後は997.1、997.2、991.1、991.2、992.1型へと確実にその伝統は受け継がれていった。
最新の992.2型911GT3ベースのRSも、そのデビューはもはや目前。こちらもまたさまざまな話題を世界のポルシェファンに提供してくれることになりそうだ。