この記事をまとめると
■フィアットにはかつて小さな商用バンが存在した
■「850T」と名付けられたこのモデルはフィアット600Tの後継モデルだった
■最初は850ccのエンジンを搭載しており後継モデルは900ccに拡大された
フィアットにもあった可愛いバス
ワンボックススタイルの軽商用車といえば、いまでは宅配業務に欠かせない存在。軽自動車枠に沿って作られたので、当然ながら基本的に日本国内専用モデルだ。でも昔はイタリアにも、似たクルマがあった。しかもあのフィアットが作っていた。その名はフィアット850T。
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フィアットは1955年、このブランド初のリヤエンジン車である600(セイチェント)をデビューさせた。これをベースに水冷直列4気筒だったエンジンを空冷直列2気筒にするなどして小型化したのが500 (チンクエチェント)だったわけだが、600には通常セダンのほかに、ムルティプラというマルチパーパスビークルも用意されていた。
2000年をまたいで生産されていた個性的なデザインのミニバン、ムルティプラの祖先と呼べるモデルで、リヤエンジンであることを生かして運転席を前輪の上に移動させ、3列シートを実現していた。
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やはりリヤエンジンだったフォルクスワーゲン・ビートル(タイプ1)をベースにしたタイプ2に似た成り立ちだったが、リヤの丸みはセダンとほぼ同じだったので、ちょっとユーモラスな形をしていた。最初は乗用車仕様だけだったが、途中で商用車仕様も生まれて、こちらは600Tと呼ばれていた。
850Tはこれの後継車で、ベースとなる600が1964年、850に進化したことに合わせて生まれた。リヤに水冷直列4気筒エンジンを積むことは600T/ムルティプラと同じだったが、ボディはより空間効率に優れたボックスタイプになった。サイズは全長約3.7m、全幅約1.5mで、現在の軽自動車よりやや大柄だった。
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850Tは商用車仕様で、乗用車版はこのサイズとしては異例の4灯ヘッドライトを備え、850ファミリアーレと名づけられた。さらにワンオフではあったが、ベルトーネがスタイリッシュなボディを架装したビジターバスも登場。その名のとおりフィアットの工場見学用車両として使われていた。
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その後、1976年に850Tは900Tに進化。850ccだった直列4気筒が、850クーペ/スパイダーに先行搭載されていた900ccに拡大され、ボディは丸型だったヘッドライトが角形になり、ルーフがやや高くなっていた。さらにそのあと、900Tは名前を900Eに変えたが、1985年に生産を終了している。850Tを含めた生産台数は70万台以上だったという。
その後、フィアットからこのクラスのワンボックス商用車は生まれなかったが、1990年代に入るとベスパなどを生産するピアッジオが、ダイハツ・ハイゼットをベースにしたポーターというトラックとバンを生産開始。こちらは2021年まで作られ、その後は車名は同じまま、自社開発のセミキャブスタイルにスイッチしている。