この記事をまとめると
◼︎ネット通販が日本全国で使われており生活の一部になっている
◼︎荷物を不在時に持ち帰りまた届ける「再配達」が現場を圧迫している
◼︎人手不足なども相まって商品よりも送料が高い世界になる可能性もある
物流業界を蝕む「再配達」問題
近年のライフスタイルの多様化にともない、急速に拡大しているネット通販などの電子商取引(EC)。これにより、宅配便の取扱個数も急増し、また配達のときの顧客の不在により再配達が繰り返されることで、トラックによるCO2排出量の増加やドライバーの負担増大、それを原因とするドライバーの宅配便からの離職→人手不足など、深刻な社会問題のひとつになっている。
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トラックドライバーの人手不足は、こと宅配便のみに限らず、「物流の2024年問題」が表面化してから現在に至るまで、物流業界の重大な危機的状況になっている。2024年4月の働き方改革関連法の業界への本格適用にともない、ドライバーの時間外労働には年間960時間の上限規制が適用され、現在のドライバー不足が続く限り、2030年にはトラックの輸送力の供給不足により「全国でおおよそ35%の荷物が運べなくなる」といわれている。
先に述べたとおり、これは宅配便に限ったことではなく、日本の物流すべてに降り掛かっている深刻な問題だ。とりわけ、近年劇的に増えている宅配便の利用に関しては、このままでは「荷物が届かない」「送料がものすごく高い」という問題も近い将来起こりうることだ。現在は送料無料などのサービスがごく当たり前になっているが、これも減少し、将来的には「商品価格より送料のほうが遥かに高い」ということも現実になりかねない。ネットや一部報道でも「今後、ネット通販はそのコストが増大することで、ごく一部の富裕層のみが使える贅沢品になるのでは」という噂がまことしやかに語られている。
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ここで紹介するグラフ(国土交通省ホームページ「宅配便の再配達削減に向けて」より)を見てもわかるとおり、インターネット通販の需要は年々拡大し、それにより宅配便の取扱個数も急増。令和5年度にはなんと約5億個にまでのぼっている。また令和6年10月期の国交省によるサンプル調査では、宅配便の個数のうちおよそ10.2%が再配達になっているという。
単純にこの数字だけみても、ドライバーが10回配達に行ったとして、そのうち1回が再配達になっているというわけだ。この「1割」という再配達は、年間6万人のドライバーの労働力に相当し、そのトラックから排出されるCO2の量は年間でおよそ25.4万トン。配達先の顧客が、その本人の指定した配達時間にしっかり在宅していれば、このCO2は排出されずに済み、地球環境への負荷も低減できるのだ。
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グラフを見ると、再配達がもっとも多かった平成31年4月の16.0%に比べると、令和6年10月の数字は減少傾向にあるのがわかる。これは、顧客が不在でもその荷物を自宅の前に置いて配達を完結する「置き配」や、マンションや一戸建て住宅の宅配ボックスが普及してきた結果でもあるだろう。
ネット通販などのEC取引がこれだけ一般化している現在、この取引による買い物も、わたしたち消費者にとってはもはや必要不可欠なもの。今更自分たちの買い物を、お店へ足を運ぶという手段だけに戻すことは不可能といっていい。そしてEC取引にとって宅配便は不可欠なインフラ。そもそも、自分が欲しいと思って購入したものを受け取るのに、自分は自宅にいなくていい、宅配便はまた再配達に来ればいい、という認識は、それを日々運び、みんなの生活を支えているトラックドライバーに対しては失礼極まりないことだと、「マナー」や「モラル」の面でも認識したいものだ。