モナコにはレーニエ大公のクルマ愛が詰まった博物館があった! F1マシンからクラシックカーまで「S.A.S.ビンテージカー・コレクション」は圧巻のラインアップ
ドライブコースにも恵まれているためクルマでの来訪がベスト!
モナコのS.A.S.ビンテージカー・コレクションを訪ねたのは2024年の6月。世界博物館歴訪の旅の”終焉”が近づいてきたことから、それまでに訪れていなかったスウェーデンの博物館を巡ったあと、イギリス、ドイツ、フランスとまわった際に訪れたのだ。前日に訪れたふたつの博物館が、1件は予約のメールが上手く伝わっていなくて門前払いとなり、もう1件は博物館が廃館となっていて、ともに”不発”に終わっていたから、この日のモナコには「是が非でも」と期待が高まっていた。
というよりも、小さな頃から自動車レースに興味があり、世界3大レースのひとつとされるモナコのF1GPの印象は深く、博物館の存在を知ったときにはすでに「是が非でも」と憧憬の想いが生じていた。ちなみに「”終焉”が近づいてきた」と感じていた世界の博物館歴訪の旅だが、いまだに現在進行系のままで、この原稿を入稿したらイタリアに飛び、ヒストリック・ミナルディデイを取材した後で歴史的なラリーカーを多く所蔵するマカルーゾ財団のガレージを訪問することになっている。こちらもいずれ紹介するつもりだが、やはり博物館探訪は奥が深い。

博物館のアクセスについては、クルマで山々の中腹を縫っていく高速道路から、インターを出てモナコの市街他まで降りていくのが正解だ。
今回はマニクール・サーキットから移動してアヴィニョンに投宿。翌朝にムージンを経由してモナコに到達したのだが、”やまなみハイウェイ(大分県と熊本県を結ぶ絶景ワインディングコース)”とでも呼ぶべきオートルートA8号線は、右手眼下に地中海を見晴らしながらの快適なスカイラインだ。
一方、オートルートを外れてからはモンテカルロ・ラリーのコースに迷い込んだかのようなワインディングもあり、いずれも十分にドライブを楽しむことができた。モナコに到着したあとは心配していた駐車場難民となることもなく、博物館の至近距離にあった地下駐車場にクルマを駐めることができ、安心して博物館の取材・撮影に専念できた。

大公の愛情がうかがえる数多くの名車が勢揃い
博物館に展示されていたのは収蔵車両の一部だろうが、それでも圧倒されるほどの名車、ヒストリックなクルマたちだった。女優のグレース・ケリーと恋に落ち、公妃として迎えたことで知られるモナコ公国のレーニエ大公は、クルマ好き兼レースファンとしても知られ、モナコGPの際には自らがドライブするオープンカーのサイドシートにケリー公妃を乗せてGPコースをパレード走行するのが通例となっていた。
そしてこのモナコにあるS.A.S.ビンテージカー・コレクションには、たとえばヒスパノ・スイザやドラージュ、デライエ、パッカードといったクラシックかつプレミアムなロードカーはもちろん、F1GPマシンやプロトタイプのスポーツカー、あるいはWRCで活躍したラリーカーなどの競技車両も含まれている。
1928 Hispano-Suiza H6 B Landaulet Kellner
電気自動車メーカーとして設立され、紆余曲折の末に高級車メーカーとして一時代を築いたヒスパノ・スイザ。H6シリーズは直6SOHCの6.6リッターエンジンを搭載。1922年に登場したH6Bはその高性能版だ。
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1934 Delage D8-15 Berline
高性能レーシングマシンのコンストラクターとして活躍してきたドラージュは、1930年代から高級車メーカーへとシフト。D8シリーズはフランス車初の直列8気筒エンジンを搭載。1934年に登場したD8-15は2.7リッター版だ。
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1945 Packard Super Eight Cabriolet & 1947 Jaguar XL1
パッカード・スーパー8は、ピアレスやピアース・アローとともに戦前の北米を代表する高級車のひとつ。直列8気筒エンジンを搭載していた。左後方に鎮座するジャガーのXL1とは好対照なルックスだ。
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1947 Delahaye 135 MS Cabriolet
ドライエは、ドラージュとともに戦前のフランスを代表する高級車メーカー。トラックなどの商用車や消防車などの特装車に特化していたことから、トラック用のエンジンで高級車を開発したという特異なケースだ。
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1953 Deutsch-Bonnet(DB) Coupé “Frua”
シャルル・ドゥーチェとルネ・ボネが、友人同士で起こした小規模なスポーツカーのメーカーDBは、そのふたりのイニシャルを繋げて命名された。ル・マン24時間に参戦する小排気量スポーツカーの旗頭で、後にマトラへと発展した。
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1963 Facel II Coupé
ドラージュやドライエのボディ架装で定評のあったコーチビルダー「ファセル」が戦後、クライスラーからV8エンジンを調達、自らの名を冠したクルマを製作した。その最終形がファセルⅡ。のちに自社エンジン開発でつまずき、メーカー自体も消滅する。
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たとえば1970年代のF1GPで活躍したフェラーリの312シリーズの各モデルや、1960年代から70年代にかけて世界メーカー選手権やスポーツカー選手権で活躍したポルシェ908やフェラーリ365GTB4、通称”デイトナ”など、モータースポーツの歴史絵巻に登場する名車・傑作車が目白押しだ。そうしたクルマたちからはレーニエ大公の並外れた権勢が伝わってくるが、一方で自身のマニアックなクルマ好きのキャラがうかがえる。本当にクルマが大好きだったんだなぁ。
1971 Ferrai 365 GTB4 “DAYTONA” Competizione & 1969 Porsche 908
排気量が年々拡大していったフェラーリと小排気量でクラス優勝を重ねていたポルシェ。当時のスポーツカーレースで注目を集めていた両雄は、車両規則の変遷で、ともに同クラスで世界最速・最強を争う最大のライバルとなった。パッケージの違いは哲学の違いか?
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1974 Ferrai 312 B3
1966年から始まった3リッター規定のF1GPに、当初バンク角60°のV12エンジンを投入して苦戦していたフェラーリは、1970年シーズンに向けて180度V12のティーポ001を導入。1974年用で背の高いインテークポッドが特徴の312B3はその集大成だ。
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1976 Ferrai 312 T2
フェラーリ312Tシリーズは1975年にデビュー。1974年の312B3をベースに開発し、ハンドリングを改善するために横置きのトランスミッションを採用。1976年用の312T2は、前年の312Tに続いてダブルタイトルを獲得した。
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1979 Ferrai 312 T4
312Tシリーズの集大成が1979年シーズン用の312T4。ロータスが先鞭をつけたウイングカー構造を採用したが、180度V12エンジンのために理想的なパッケージとはならなかった。しかしタイトル奪回に成功した。
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S.A.S.ビンテージカー・コレクション Collection de Voitures Anciennes de S.A.S
54 Rte de la Piscine, 98000 Monaco, Monaco.
Website:// www.mtcc.mc/
※毎日開館。開館時間は10:00~19:00
入館料は大人€10.0(邦貨換算約1700円)
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モナコには空港がなく、パリからフランス国鉄のTGVも利用できるが、クルマでアクセスするのが一般的。市街地を見下ろす山あいには高速道路が整備されている。地中海沿いのカンヌやニースにも通ずる海岸線に沿った道路もあるが、これらの主要地域には高速道路からもアクセスできるから、今回のように博物館を訪ねながらの小旅行なら断然高速道路からのアクセスがオススメ。意外ながら、市街地には駐車場も十分に整備されている。レンタカーでモナコGPのコースを巡るのも一興だ。
※本記事は雑誌「CARトップ2026年11月号」の記事を再構成して掲載しています
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