この記事をまとめると
■キャデラックがVシリーズ.Rの技術を受け継ぐコンセプトカー「V-ONE」を発表
■ダラーラと開発しレースカーに近い性能と扱いやすさを両立
■世界に1台だけの特別なコンセプトとして登場したため現時点で市販予定はない
キャデラックが生み出した究極のシングルシーター
キャデラックが新たなコンセプトカー「V-ONE」を発表した。「V-ONE」というネーミングは二重の意味をもつ。「V」はVシリーズというキャデラックが長年培ってきた高性能モデルの伝統。そして「ONE」は「世界に1台だけのシングルシーター」を指す。
IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権とFIA世界耐久選手権での積み重ねがある。2023年に自社製レーシングカー「Vシリーズ.R」投入初年度以降、10勝・16ポールポジション・32表彰台という圧倒的な成績を残してきた。V-ONEはその実戦で証明された技術を、ひとりのドライバーのために再構築したコンセプトだ。
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パワーユニットはVシリーズ.Rと同じ基盤をもつハイブリッドV8で、システム最大830馬力を発生する。サスペンションはダブルウイッシュボーン、プッシュロッド駆動のコイル&トーションスプリング、フロント・リヤ両方にラテラルとヒーブダンパーを備えた構成でVシリーズ.Rと共有。トランスミッションと一部エレクトロニクスも同様だ。
V-ONEの開発にはシャシーコンストラクターのダラーラも携わっている。ダラーラという社名に聞き覚えのある人は多いだろう。F2、F3、インディカー、スーパーフォーミュラなど世界の主要モノポスト・フォーミュラのシャシーを製造するイタリアの名門で、LMDhプログラムにおいてもキャデラックのVシリーズ.Rはダラーラ製シャシーを使用している。
ここまで内容を見ればわかるように、V-ONEはレーシングカーを一般ドライバー向けに最低限アレンジしたモデルと見ることができる。「レースカーとほぼ同等の性能をもちながら、より扱いやすい」ことを目標に開発されたという。
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エクステリアも、レースカーのボディと全体的なプロポーションをそのまま継承しながら、より洗練されたディテールを加えている。もっとも目を引くのが、シルバーからディープネイビーへと移行する手吹き塗装のグラデーションだろう。「耐久レース中の昼から夜への移行」をインスピレーションとしたというこの表現は、V-ONEが単なるスポーツカーではなく「耐久レースというドラマの主役」というアイデンティティをもっていることを視覚的に語っている。
内部は完全なシングルシーターだ。むき出しのカーボン構造体と、レーシングエンジニアが開発したステアリングホイールのボタンレイアウトを軸に、キャデラック・コレクション製のリサイクルファブリック素材、ドアに配されたシリアルナンバー入りのプレート、ドライバーの体型に合わせてカスタマイズされたシートが組み合わさる。UI/UXのビジュアライゼーションは、ドライバーが車両の性能限界を引き出す際に明確なフィードバックとコーチングを提供するよう設計された。
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ポルシェやフェラーリのコレクターが集まるモントレー随一のプレミアム・モーターズポーツ・ギャザリングである「ザ・クアイル」に、キャデラックがこのコンセプトをもち込んだことも示唆深い。アメリカのラグジュアリーカーブランドが、欧州スポーツカーと同じ土俵で「世界に1台だけのレーシングコンセプト」を語れる位置に立ったことを、V-ONEは静かに宣言している。