世に出なかったV10搭載「M5 CSL」にV8搭載「M3 CSL」。BMW Mのガレージに眠る名車を支えた幻のプロトタイプ (1/2ページ)

この記事をまとめると

■BMW Mには市販されなかったCSLプロトタイプが存在する

■V8やV10の高性能エンジンに軽量化や先進空力を投入

■幻のCSLたちの技術はのちのBMW Mモデルへ受け継がれた

「CSL」には試作車が存在した

 BMWの抱える特殊部隊であるBMW Mは、50年にわたってレーストラックでの高い戦闘力とロードカーとしての情熱を両立させたスポーツカーを送り出してきた。なかでも「CSL」という3文字は特別な意味をもつ。Competition・Sport・Lightweightの頭文字であり、黎明期にはCoupé・Sports・Lightとも呼ばれたこの称号は、1973年の3.0 CSL、2003年のM3 CSL(E46型)、そして現行のBMW M4 CSL(G82型)へと、Mモデルのなかでも特別なハードコアスペシャルにのみ与えられてきた。その一方で、市販化には至らなかった「幻のCSL」たちが、BMW Mのガレージには数多く眠っている。

M3 CSL V8(E46)

 まずは「BMW M3 CSL プロトタイプ(E46型)」だ。E46型のM3にはCSLが存在するが、さらにその進化系が計画されていた。BMW M3 GTRとは異なる独自開発のエンジンで、S62型V8をベースに、4リッター・高回転型で430馬力を狙うという野心的なプロジェクトが存在したのだ。

 広報部門から譲り受けたM3 CSLをベースに、S65VB40型エンジンを搭載した試作車が仕立てられたが、量産化されることはなく1台限りの存在となった。しかし、ここで得た知見は無駄にはならず、その後新規開発されたV10のS85型、V8のS65型というMファミリーエンジンへとつながっていく。S65B40型エンジンは2007年、E90型のM3に搭載され、8300回転で420馬力を絞り出す市販ユニットとして日の目を見た。

M5 CSL(E60)

 続くのは「BMW M5 CSL プロトタイプ(E60型)」だ。自然吸気エンジンでさらなる出力を得る手段として、もっともオーソドックスなのが排気量の拡大。そこで5.5リッターと5.7リッターの2種類のV10エンジンが開発され、そのうち高回転型の5.5リッターは最高出力630馬力、最高回転数8750回転という凄まじいスペックを誇った。

 BMW Mの25周年を記念して、彼らはこのエンジンを積んだM5をカーボンルーフやレカロシートの採用、リヤシート撤去などで仕立て上げ、約150kgの軽量化を達成。シングルクラッチのセミAT(SMG)はデュアルクラッチ(DCT)へと換装された。BMWキドニーグリル下部に追加されたエアインテークにはトランスミッション用オイルクーラーを内蔵し、18インチ鍛造ホイールも採用。足まわりの熟成を経て、記念すべきこのM5 CSLはニュルブルクリンクを7分50秒でラップしたという。こちらも1台限りの存在で終わっている。


この記事の画像ギャラリー

新着情報