この記事をまとめると
■自動運転バスの実証実験が各地で行われている
■自動といいながらも乗務員が乗っている場合が多いので人手不足解消の効果が薄い
■法律的な側面も含めてまだまだ改善点が多い領域だ
いまの自動運転バスの仕組みでは全然意味がない
自動運転バスの実証実験がときおり報道されることがある。そしてそのとき必ずといっていいほどフレーズとして入るのは、「運転士不足解消へ」というもの。自動運転というのは運転席に補助的人員がいるものの、運転は原則バス自体が自動で行うものを指し、車内に補助的人員が介在しない無人運転ではないことを考えると(少なくとも当面の間は)、前述した運転士(働き手)不足解消というフレーズとの整合性に筆者は疑問を感じている。
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筆者が訪れた海外の国々の大都市で運行される路線バスのほとんどが、完全キャッシュレスでの運賃収受となっている。意外なところではカリフォルニア州ロサンゼルス市および周辺を運行する路線バスや、ネバダ州ラスベガス市内を走る路線バスは現金が使えるものの、お釣りは出ない。
交通系ICカードをタップして支払うのが運賃支払い方法の唯一の手段というところが多いなか、ベトナムの首都ハノイ市内を走っているBEV(バッテリー電気自動車)バスでは、運転士だけではなく車掌が乗り込むツーマン運行であり、定期券のようなものをもっていない場合は、乗車したあと車掌さんが運賃収受のため近寄ってくるのでその場で現金にて支払うことになっていた。
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日本国内ではレアケースとしては1万円も受けつける運賃箱もあるが、それでも一般的には1000円札のみ対応で両替だけではなく、そのまま運賃収受を行いお釣りが出てくる運賃箱もあるほど、まだまだ現金での運賃収受も目立っている。また、障がい者割引などもその都度確認して運転士が割引運賃になるように設定してから交通系ICカードなどで運賃収受をしているので、無人運転をめざすならばまず完全キャッシュレスによる運賃収受方法を確立することが優先ではないかと考えている。
今後日本でもバスだけではなく鉄道でも顔認証による運賃収受が急速に普及するとされているので、技術的には完全キャッシュレス収受は可能、あとはバス事業者の判断次第との話も聞いたことがある。
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運賃収受以外でも車いすでの乗車の際のスロープ設置などの要員も必要なので、技術的に無人運転が可能であっても、実際の路線バス運行で無人運行は難しいとの声もある。
話は変わるが、タクシー業界で外国人運転士を雇用する際に言葉の壁を解消するために、日本人が通訳として同乗するといったことが話題となった。働き手不足解消のために外国人運転士を採用するのに、2名乗車になるのでは本末転倒ではないかとの声も上がった。
いまいわれている自動運転バスが無人運転を目指しているのならば、確かに運転士は必要なくなるかもしれないが、現状のサービスを維持するならば運行する事業者は車内サービス要員を置く必要に迫られるだろう。
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このサービス要員をどこから連れてくるかというのが今後さらに話題となってくる。バスを運転するわけではないので大型二種免許は必要としないため、その点では人は集めやすくなるだろう。しかし現状では、正社員雇用するとはなかなか考えられない(国家資格などを用意するのなら話は別となるが……)。ただ、現状のまま自動運転をめざすのならば、運賃箱の運用も含めて路線バスの運行業務に熟知する必要があるだろう。
そう考えると運転士としてバス事業者に雇用されている大型二種免許をもつ運転士がサービス要員となることも考えられる。都市部ほどバス運転士が日々バスを運行する道路環境は複雑化している。そのなかで安心・安全に乗客を輸送するためには細心の注意を払ってバスを運転しなければならず、その精神的負担は計り知れないものがあるように感じている。