この記事をまとめると
■国産メーカーにくらべて中国メーカーはクルマの開発スピードが段違いに早い
■BYDラッコは企画立案の1年後にはクルマが完成しており約2年で製品化されている
■これまで日本メーカーは人命に関わるクルマだからこそ慎重に開発を進める姿勢だった
中国メーカーの開発スピードが早すぎる
世界中からの期待が大きかったホンダの次世代EV「ホンダ0(ゼロ)」は、インド生産の「アルファ」を除き、生産・販売計画が凍結されてしまった。関連して、ソニー・ホンダモビリティの「アフィーラ」の商品化についても白紙に。こうした状況に対してユーザーのなかには「出るのが遅過ぎたのでは?」と見る人もいるだろう。
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大きなプロジェクトの場合、プロジェクトの方向性が最初に発表され、次にプロトタイプのバージョンが段階的に進化して、やっと量産試作へと移るという流れだと、最初の発表から少なくとも3年は要してしまう。企画の段階から見れば、5年近くが費やされる計算だ。
一方で、たとえばBYDラッコの場合、企画から製品化まで2年程度で収まっている。同モデルの開発関係者によれば、「企画から実質1年で、クルマとしてはほぼ完成していた」というから驚きだ。残り1年は、いわゆるファインチューニングに徹したというのだ。
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このように、最近はとくに中国メーカーにおける自動車開発スピードの速さが際立ってきており、日本の自動車メーカー各社幹部は自社の将来に対する危機感を露わにしている。
では、なぜ日本の自動車メーカーの自動車開発スピードは遅いのか。見方を変えると、遅いのではなく、中国メーカーなどが「速すぎる」といえるかもしれない。
そもそも、自動車の量産開発には、技術的な基礎研究と世界各地の市場調査などが継続的に行われることが重要だ。どのような技術を、どの市場で、どのタイミングで導入するのかを熟慮する。それに伴い、生産体制に対する投資について精査し、また自動車部品メーカーなどで構成するサプライチェーンとの”すり合わせ”を進めていく。そうしたなかで、商品(製品)企画で目指す方向を示しながら、開発と実験、デザイン、生産技術の連携が始まるという流れが一般的だ。
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ここで重要なのは、クルマという商品の社会における立ち位置だ。家電やコンピュータ、スマートフォンなどと大きく違い、自動車メーカー側はユーザーの安心安全について深く理解し、万が一の状況を想定した丁寧な仕事が必要だということ。クルマは、人の命に直接関わる商品だからだ。そのため、量産開発まで十分な時間を要するのは当然である。
ただし、市場における競争が激化するなかで、企業として生き残ることも考えなければならない。商品(製品)企画から生産拠点におけるラインオフまでの工程を、技術領域としてはDX(デジタルトランスフォーメーション)をフル活用し、また社内組織の再編などによる企業文化の変革などによって、日本の自動車メーカーはいま、ユーザーの安心安全を最優先にした上でライバル企業に立ち向かうための量産化期間の最短化に挑戦しているところだ。
2020年代後半には、その成果が見えてくるはずである。