WRCに挑んだ意外とも思えるラリーカー達

WRCに挑んだ意外とも思えるラリーカー達

あんなクルマやこんなクルマもラリーカー!?

 マシンが淘汰されていくのは競技の宿命、と言ってしまえばそれまでだが、ラリーの頂上イベントである世界ラリー選手権(WRC)に参戦するマシンは(その時々の)レギュレーションに則って開発され、当初は様々なアイデアが盛り込まれながらも、やがて一つのパッケージに収束していく。グループA時代からは必須とされてきたターボ・エンジン+4輪駆動(AWD)などはその典型。しかしかつては、現在よりもはるかにバラエティに富んだマシンがラリーフィールドで、生き生きと走り回っていた。そんな意外なチャレンジャーを紹介してみよう。

★ラリーフィールドでも輝いたスリーポインテッドスター★
1977 Mercedes-Benz 280 E Rally-car London-Sydney Marathon Spec./1980_Mercedes-Benz 500 SLC Rally-car Bandama Rally Spec.

 モータースポーツにおけるメルセデス・ベンツの活躍と言えば、近年ではF1GPとDTM。少し時代を遡ればグループCカーによるスポーツカー耐久などサーキットレースにおける活動が印象深いが、かつてはラリーフィールドでも活躍していた。1970年代後半にはW123系280Eのラリーカー(Rallyewagen)と呼ばれるスペックで参戦。77年のロンドン~シドニーでは1-2フィニッシュを飾っている。またアフリカ・ラリーでは伝統的に強く、80年のバンダマ・ラリーではC107系500SLCのラリーカー・スペックが1-2フィニッシュを飾っている。#33の280Eと#8の500SLC、2台ともにドイツはシュトゥットガルトにあるメルセデス・ベンツ博物館で撮影。

★CVTをラリーフィールドに持ち込んだ、先駆者のDAF★
1966 DAF 33 Tour de Corse/1966 DAF Daffodil 32 S Type 327 Rally/1968 DAF 55(5502)“Rally”/1970 DAF 555 Sport-prototype

 オランダ唯一のメーカーだったDAF。乗用車部門は1975年にボルボに吸収されたが、CVTのパイオニアとして知られている。そんなDAFは、WRC制定前からラリーに参戦、CVTを鍛え上げていた。ちなみにDAFはF3にもCVTを投入していたし、以前紹介したがウイリアムズに供給してF1マシンでもCVTをテストしている。そんなDAFがラリーに投入したマシンは数多い。60年代半ばから終盤にかけては850ccのフラットツインを搭載したDAF33が活躍、ツール・ド・コルスでは何度もクラス優勝を遂げている。また60年代終盤にはルノー製の1.1リッター直4を搭載したDAF55も投入され、68年のロンドン~シドニー・マラソンでは総合17位に入賞ている。赤いストライプのDAF33、#15のDAF55ともにオランダはアイントホーヘンのDAF博物館で撮影。

★数奇な星のもとに誕生したクルマもラリーフィールドへ★
1983 Wartburg 1.3 Rallye-Transporter/1990 Wartburg 1.3 Rallye Gruppe N

 オースチンのライセンス生産からBMWの、自動車生産の第一歩となり、戦後は旧ソ連の統治から旧東ドイツの国営企業、アイゼナハ・モトーレン・ヴェルク(EMW)/アウトモビール・ヴェルク・アイゼナハ(AWE)を経て現在はオペルの主要工場となっているアイゼナハが、AWE時代に生産していた乗用車がヴァルトブルク。2ストローク3気筒エンジンを使用し、1956年に発表された初代の311と65年に登場した2代目の353に大別できるが、その353の最終モデル、1.3はVWゴルフ用のエンジンを搭載、ラリーで活躍していた。旧共産圏/旧東ドイツ製のラリーカーというだけでも注目だが、カラーリングだけでなくキャビンデザインもお揃いのトランスポーターが一層目を惹いた。ドイツ北東部、アイゼナハのアイゼナハ自動車工場(博物館)にて撮影。

★ドイツ統合で一躍スターとなった“トラビ”もラリーで活躍★
1988 P 800 RS Trabant Rallye Fahrzeug

 ベルリンの壁が崩壊し東西ドイツが統合された際のニュース映像で、元気に走り回る姿が配信され、世界中の人気者となったクルマがトラバント、通称“トラビ”。先に紹介したヴァルトブルクとは浅からぬ因縁がある。というのもトラバントを生産していた旧東ドイツの国営企業ザクセンリンクは旧アウトユニオン系ホルヒのツヴィッカウ工場で、戦後はアウトウニオン系のDKWをベースにした小型乗用車を生産していたが、これをアイゼナハに生産移管。その後継モデルがヴァルトブルクで、反対にザクセンリンクではDKWベースのものよりさらに小型のトラバントを開発した経緯があった。空冷2ストローク2気筒エンジンを800ccに拡大してパワーアップ。グループAの公認を受けラリーに参戦したモデルがP800RS。1989年の1000湖ラリーでは出走した3台がクラス2~4位入賞を果たしている。ドイツ北東部のツヴィッカウにあるアウグスト・ホルヒ博物館で撮影。

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